- 清水 玲子
- 秘密―トップ・シークレット (1)
1巻に収録されてる第1話は、完全な読みきりで、メインのキャラクターは誰も登場してない。
ただ、故人の生前の脳の情報を読み取るという、近未来の警察の捜査方法(これがメインテーマなんだけど)のコワイ点を、いきなりついてる。
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清廉潔白な米国大統領が暗殺されるが、犯人を突き止めるための情報が集まらない。そこで警察は、最新技術を駆使して、全く損傷がなかった大統領の脳をMRIスキャナーにかけ、読唇術の専門家であるケビンに情報の読み取りの協力を得る。
大統領の目から見た情報が大型スクリーンに映し出され、第三者の目にさらされる。音声情報は得られないので、ケビンは必死にスクリーンに映し出される人間の唇の動きから会話の内容を読み取る。だが、映像から大統領の恋心をうかがえることに気付き、ケビンは自分が母親を愛している事に罪深さを感じ、同居の母と別れる決心をするのだった。
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第2話からメインキャラクターが登場する。
舞台は日本、MRI捜査を担当する法医第九研究室(通称、「第九」 / ♪ベートーベェン)の室長は、外見はとても社会人には見えないくらい若い、だけどかなりクールな薪警視正(警視正は警察におけるぶちょーとかかちょーとか、そういうヤツです。念のため)。 その第九に青木が配属されるところから、物語は再び始まる。
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日本の犯罪史上類を見ない、28人連続殺人事件を犯した貝沼は自ら命を断つ。その脳のMRI捜査を行った捜査員の5人の内、3人は死亡1人は精神に異常をきたしたという。残りの一人は室長の薪警視正だった。
高校生のような若い外見とは裏腹にかなりヤリ手の薪は、新しく配属された青木に「君にこの仕事は向いていない」と配属転向を希望するように言う。それは、貝沼の脳を見たメンバーの鈴木に、青木が酷似していたからだった。
苦悩する薪さんと新しい仕事に張り切る青木が、対象的なキャラクターとして描かれていて、それに殺人犯の貝沼が自分の脳に託したメッセージが絡んでくる。
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この漫画には終始、人間の内部のイラストが登場するので、「小学生の頃は理科室で解剖図の人形がコワカッタ」という人にはお奨めしない。(この作者の流麗な絵は、決して嫌悪感を持たせるものじゃないと思うけど)
それにしても、この作者が書くテーマは毎回シビアだなぁ。
故人とはいえ、脳内のデータを故人が感じたままに再現させて、第三者の目に触れるっていうのは、完全にプライベートを侵略してるよね。記憶を電子データ化して永久保存とかもしないでほしいな。ロボットじゃないんだから。秘密をひみつのまま墓場まで持っていくことが出来ない社会は、故人の意思を尊重してるとは言えないんじゃないか。
上野正彦の『死体は語る』は、現実世界でのベテラン監察医の操作方法を知ることができる。ここから薪さんたちの操作方法に移行される時代は来るのだろうか・・・。って来てほしくない。
