゛集団リンチ ゛

 

 

江戸我 美保

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

  どびんっ!

  ちゃびんっ!

  はげちゃびんっっっっっっ !!!

  あっ・・

 私は うっかり 口篭もってしまった

 本当は 次の誰かを 指差して どびんっ と言って 送らんといかんのにだ

  あーあ・・

 仲良しのすずめが にやりとした

私が項垂れていると 直ぐに 次が始まる

どびんっ ちゃびんっ はげちゃびんっ

次は 明らかに 私を 狙って すずめが再度やってくれた

きゃあああああ

私は ちょいむっとしながらも 叫び声を上げる

その次も その次も 私は 初めてやった そのゲームで 連続惨敗続きだった

そのうち すずめを習って そのまた仲良しが 私をターゲットに指差した

その次も また別の仲良しグループの1人が 私を指差した

明らかに 狙い撃ちだった

 はい 罰ゲームよっ

すずめが意気揚々に 言う

まあただの 手の甲に 全員が手指で 軽くか酷くかしっぺという 昔ながらの罰ゲームだ

きゃあきゃあ言いながら 罰ゲームも 続いてた

ゲームをしていたのは 私を入れて7人程度だった

高3の修学旅行は 女子ばかりのクラスで 部屋は半々に別れていた

誰かが 向こうの部屋へ行こうと言って

何故か 仲良く 全員が 1部屋に集まって そのうち 多分全部すずめだったか ゲームをしようと言い出したのだ

部屋の真ん中で 円陣になって そのゲームをやっていた

クラス中の他は 話していたり だらんと旅の疲れか のんびりしている

 私は 部屋を移動するのも だるかったし どうでも良かったし 自部屋で のんびりしていたかったけれど 皆が行くので ついでに行く事にした

 ゲームをしようと言われた時にも 面倒だしだるいし そもゲームとか 余り好きでは無いから 乗り気では無かったものの まあ仲良しグループだし その輪の中に 一応は入っていた

 そのゲームすら 人生で初めてする物で 何が何だかだった

 なるほど 単純で 簡単な様子ではあった

 ただ 私は 慣れていなかった  他の人達も どうかは知らない

 唯一 やろうと言い始めたすずめは きょうだいが多いから 慣れていたのかもしれない

  ほら 罰ゲームよっ

 何故か その横から 全く無関係な 化石が私のその右手首を 掴んで言い放った

 え こいつは全くの超無関係なのに とは思ったけれど そも 余興のただの 罰ゲームだしと 最初は 私も軽く思ったろう

 しかし 私のその手を 畳に押し付けて

  足で踏めっっっっ!!!

 と大声で 皆に言うでは無いか  それはさすがにびっくりした

 早速 すずめが 私の手を 足を踏み付けたのにも びっくりした

 彼女らは 既に 罰ゲームも 済んでいた筈だった

 少しの間 多分 全員が済むだろう頃には 私は 化石の手が逃れようとしたけれど そのまま離さないでいた

 それどころか 益々 畳の上に 私の右手を しっかり 両手や自分の足でまで押さえ付けて 逃げようすら無くしておいて

  ほら 皆 足で踏めっ!!!

 とまで言っていてる

  何で そんな事するん

 誰かが 問うた

  罰ゲームよ

  何だ 罰ゲームか

 私は 内心 そんな程度で 納得するなとか思いつつ 身動き出来無い状態になっていた

 すずめが踏んだ後辺りから 危険なので そのまま伏さっていた

  踏めっ 踏めっ!!!

  踏めっ 踏めっ 踏めっ!!!

 化石の友達ミニスカまで 加勢を始めて こいつら2人は 特に 全体重を足に掛けて 飛ぶように 私の手を 踏み付けた

 中には 指先だけで ちょんとする人が 2人くらい 連続でいたけれど

クラスの殆どが 私の右手を 足で 殆ど超酷く 順に踏み付け続けた

 クラスの8-9割の 殆どが 強度の差が多少はありつつも 足で踏み付けて来る 手の人は 余りいない とても長い時間が過ぎて 右手が やっと解放されると 私は その場から起き上がって 直ぐに 部屋から さっと独り出て行った

  冗談じゃ無いっ こんな事むかっ 

 実際 罰ゲームでも何でも無くて 全く謂われの無い ただの超極悪集団リンチだった

 部屋に戻ると 先ず 殆ど足で踏まれ続けた 汚れた筈の手を 洗う事から始めた

 部屋に戻った時点で 既に 右手が 赤紫に 腫れ上がっていたから びっくりもした

 痛みと ショックに 泣きながら部屋の隅の 小さな手洗い場で 手を洗って これは どうしたもんだかと思いつつ 即 タオルを濡らして冷やす事にした

 どうやら 後から考えても それは正解だっただろう

 骨折していないか 多少動かしてみたりしたけれど 何とか 動くから 大丈夫だろうと 判断した  多少擦り傷にもなっている 当然だろう

 保健の先生に 見せた方が良いか 担任にも言った方が良いかも 考えたけれど 冷やす方が先決だった

  冷やしていれば 多分 大丈夫だろう

 そう思っていた

 そも 担任の部屋も 保健の部屋も 知らない

 言うとどうなるか  頭の中を いろいろな考えが駆け巡る

 こんな事があったら 学校に行けなくなるかもしれないし 今後も また何事かがあるかもしれない どうしたもんだか

  しかも あの人達は あのクラスは何なんだろう あの超きちがい集団は

 普段は そこまでは無かったとは思うけれど いろいろな 揉め事とかは あるにはあった

 それは 生徒同志では無く 化石と 高2担任との 喧嘩で 授業にならない事が続いたり とうとう 高3も持ち上がりの筈の 担任が下りたり 他の教師も それは1回だけ くらす全員から嫌がらせたり という程度だった

 化石が 元担任に喧嘩を売る 元担任が 喧嘩を買う 負けてしっぽ巻いて教室から出て行く という事が 何回かあったりした

 私は自習になるので 読書が出来て嬉しい 文学少女だった

 学級委員は 授業をして下さい ときっぱり発言したりしたけれど 上手くゆかなったようだった

 もう1人の教師は 誰だったか やっぱ化石だったか 臭い と言い出して 

  皆 後ろに下がれっ 下がれ下がれ

 他のちょい悪も言ったかどうか クラスの全員が 素直に教室の後ろ半分にしっかり 机と椅子ごと 下がり捲った

 やがて 入って来た教師は 最初 あっ と小さく言ったかどうか それから今度は 納得したか知らん顔か そのまま 授業を大人しく普通に始めて終了した

 誰も 良い先生だったかもしれない

 元担任は若目だったかもだし 両方なのかもどうかな

 噂では 元担任は ときおの大学卒らしくて 何故 公立高の教師が出来るのか 不明だったけれど コネなのかもしれないと思っていた

 もう1人の先生は 精神病院に 入院していた噂があったけれど その他には 別にどうという事も無かったかもしれない

 この眼鏡先生は もしや独身なのか 単身生活なのか知らんけれど 煙草の臭いでもあったのかどうか とにくか 化石だかが 臭いと言いだしての結果だった

 私も 面白いから 別にこの程度なら 良いかと思っていた

 青春の1ページ さすが 大人しい秀才ばっかりの中学とは違う 悪さも黒板消し程度では無くて 面白いと思っていた

 そら 先生には 悪いかもしれないけれど

 実際 その先生は その後 関西に 転勤して行ったらしいし

 その前に 私には 良くしてくれたというか

  西に帰る人

 とその眼鏡が ある日言うから 私が手を上げると 後から用事を頼まれた

  他にも 西方面の人達は 数人いたと思うけれど 私になったらしかった

 誰も面倒で そんな手も上げなかったのかもしれない  そんな程度だきも

   この書類を 帰りに 届けて欲しいんだけれど

   はい

 呼ばれて 眼鏡の 教科の部屋に行くと そういう話だった

 途中下車して 公的ビルのどこぞに 書類を届けるというものだった

 当時の友達 別クラスの子に言って 付き合って貰えて良かった

 眼鏡に言われた通りに ビルを訪ね 課を訪ねた

 初 社会との関わりに 多少緊張しつつ 名乗って書類を手渡した

  あの高校の生徒なん

 後の方で 何かこそっと 職員が言っていた

 大した高校では無いから そんな所だろう

 

 もしも 不登校になったら 当時は 不登校 という言葉すら存在していなかった

もしもばか私立に転校したら 公立の今だと 月謝2千円が 月3万と 交通費と お小遣いで 莫大掛かる事になる

 一瞬で いろいろな事が 頭の中を駆け巡って 私はそのまま 冷やし続けていた

 もしも 担任に言うと どうなっていただろうか

 今なら解かるかもしれない 学校は 何も対応しない

 それは 近年の 学校のいじめ問題等で t.v.等マスコミ報道でも 良く解かる 後の実証みたいなものかもだし 我が子の時でも いろいろ既に 解かっている

 保健の先生に掛かったら どうなっていたか 

 まあ それなりの処置は あったのかもだけれど 自己処理で済ませてしまったのは まだ修学旅行も 学校も 続けなければならないという事だったろう

 

 高1の時にも 進退について 考える事件があったから これで 2度目の事だったし 事を大きくしない方が良いと思った

 ほぼ いつも 自分の直観に 従っている

 いつも 誰にも相談もしない

 無駄だから

 

 

 

 (続く

 

 

 

Thursday, March 7, 2024

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