青い空に、ゆったりと白い雲が流れていく。
常日ごろ、あわただしさのままに、意識もしなかった雲の流れである。
速くおそく、大きく小さく、白く淡く、高く低く、
ひとときも同じ姿を保ってはいない。
崩れるが如く崩れざるが如く、
一瞬一瞬その形を変えて、
青い空の中ほどを、さまざまに流れてゆく。
これはまさに、人の心、大のさだめに似ている。
人の心は日に日に変わっていく。
そして、人の境遇もまた、
きのうときょうは同じではないのである。
喜びもよし、悲しみもまたよし、人の世は雲の流れの如し。
そう思い定めれば、そこにまた人生の妙味も味わえるのではないだろうか。
松下幸之助「1日1話」より
