8月26日
海老澤宗香茶道教室のお稽古
毎月生徒さんの暮らしに役立てていただくため
次月の歳時記のお話をしています
来月 9月のテーマは 「重陽の節句」
中国から渡った陰陽思想で奇数は陽の数
陽数の極み 9 が重なることから
「重陽」 となり祝い事となりました
心あてに 折らばや折らむ 初霜の
おきまどはせる 白菊の花 凡河内躬恒
重陽の節句に欠かせないモチーフは 菊 です
9月9日は菊花酒を飲み長寿を祈ります
菊花酒の由来は「菊慈童」という中国の伝説
周の穆王(ぼくおう)に寵愛された慈童が
過って王の枕をまたいでしまいます
(枕は使う者の魂が宿るとされていました)
その罪で慈童は流刑になりますが
哀れに思った穆王が偈を贈ります
慈童は忘れないように偈を菊の葉に書き残し
その葉についた夜露を飲んだ慈童は不老長寿となりました
重陽の節句には日本独自の文化もあります
「着せ綿」というもので
9月8日の夜に菊の花に真綿を被せ
夜露と香りを移しとります
翌朝その綿で体や顔を拭うと
老いが去り長寿を保つと信じられていました
和裁をされている生徒さんから真綿をいただいたので
私も着せ綿をしてみました
絹の艶やかな質感が菊に馴染んですてき
この姿を表現した和菓子もあります
床は今月19日に日本陶芸展 葉月の呈茶会
でも掛けた 「清苔石上浄」
夏になると思い出す加賀千代女の歌
朝顔や 釣瓶とられて もらひ水
に因み飾りつけをしました
朝顔はすぐにしぼんでしまうため
折り紙でつくってみました
8月は夏休みでお稽古が無い教室もあります
昔の記録を見ても暑い夏には早朝くらいしか
お茶はしなかったようです
ということで今回のお稽古は
浴衣で楽しくがテーマです
まずは濃茶を召し上がっていただきました
お菓子は「夏菊」
菓子鉢の絵は「三多紋」といって
中国から渡った吉祥紋で
・桃 … 長寿・魔除け
・柘榴 … 子孫繁栄
・仏手柑 … 招福
を表しています
菓子鉢の作者 伊藤瓢堂さん が復興した
山形の「上の畑焼」が日本で唯一 三多紋を
継承しているといわれています
瓢堂さんの作品への思い入れは
作品を入れる桐箱からも伝わってきます
作品は人そのものです
その後は 七事式のひとつ
「員茶(かずちゃ)」 をしました
七時式は江戸中期に遊戯性ばかり強くなっていた茶道に
危機を感じた表千家と裏千家の兄弟家元が
精神性を重視しながら稽古ができるようにつくったもの
そのため禅宗の僧侶と一緒に考え
7つある式のそれぞれに
偈頌を与えて教えを説いています
その中でも員茶は
「景色でも眺めながらゆっくりしましょう」
という意味の偈頌がついていて
(本来は全ての修行をやりつくした境地を
言っているのですが…)
参加者全員が楽しめるように
工夫してつくられています
十種香札をつかい
くじ引きで当たった人がお菓子とお茶を召し上がって
その後に次当たる人のためにお茶を点てるという
ゲームのような式
席の移動も無いので椅子でも参加できます
生徒さんが水羊羹をつくってきてくれたので
員茶のお菓子にしました
プロ級のおいしさと美しさに一同感動
そして点前座のこちらの棚
なんと生徒さんのご主人の手作り
溜精棚を写してつくってくださいました
この棚の見どころは
お湯をすくう「柄杓」の柄が使われていること
お茶にはクリエイティブが満載
まだ柄杓の扱いをしていないかたは
鉄瓶で点前をしました
決まり事が多く難しいイメージが先行しがちな
茶道の世界ですが
工夫をすれば全てのかたが
色々な楽しみ方をすることができます
お稽古は 9月23日(土)
茶道を通じて素敵な日本を知りませんか
ワークショップは 9月24日(日)
茶道の神髄「侘び」を体感するワークショップです
いずれも経験問わず募集中です
見学も歓迎しております
事前にご予約をお願いいたします
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