　蝦読weeklyです。

小池昌代訳　『百人一首』
　百人一首の現代語訳と解説です。
　NHK大河ドラマ『光る君へ』の影響で紫式部だとか、平安の文化だとか、政治史なんかに興味を持ちはじめ、今年は折を見て読書の対象にしていこうかな、なんて考えておりまして、この本もその一つ。100の和歌を、より噛み砕いて現代語に訳してくれていて、文法による解釈や詠んだ人物の略歴にも触れてくれています。私自身は遊戯や趣味として百人一首をやろうという環境にいたわけではないので、初めて触れる歌が多くて新鮮でした。和歌の世界は難しいし、読みとるのも難関ですが、わかりやすく取り上げてくれているので本として非常に読みやすい。良著だと思います。
　小野小町と法性寺入道前関白太政大臣の歌が好きです。

デカルト著　『方法序説』
　世界的に有名な哲学者である著者の本。
　哲学に入り込んでいくつもりは全くありませんが、興味がなかったわけでもありません。先日、Youtubeでネオ高等遊民氏が「読まないと人生損をする！」と熱く動画で紹介されているのを視聴して、だったら読んでみるか、ということで手にとった次第です。デカルトが「我思う故に我あり」という思考に至った背景を振り返っていく内容といえば良いのでしょうか？　疑う・細かく分ける・段階をふむ・見落としがないように見渡すという４つの法則と、慣習に従う・一貫する・自分の欲に打ち克つよう務めるという３つの格率を実践するのが望ましい、と。「すべてを疑っても、疑っている自分の存在は否定できない」（我思う故に我あり）という考え方や「神の完全性が前提にあるから人の不完全性も明らかになる」という考え方も、そうだよなぁと感心させられます。そのまま生きていければいい人生を送れるとは思いますが、なかなか実践にまでは繋がらないのも人間かな、なんて思います。
　なかなか理解につながらず、ページ数も多くなかったことから２周しました。それでも読み取れている自信はありませんが、２周目でちょっと味を感じられるようになってきたかも。

小津夜景著　『ロゴスと巻貝』
　俳人である著者のエッセイです。
　『いつかたこぶねになる日』で知った著者。その後、句集もほかのエッセイ集も全部入手して読むくらいに注目している俳人さんです。俳句も短歌も雰囲気の良い句が多くて、素人の私でも「ああ何か良いなぁ」と感じさせられますがエッセイもまた珠玉の筆ばかり。何なんでしょう。何気ない文章に美しさと柔らかさと鋭さが同居している感じ。とにかく心地よいし、ずっと浸っていたい。しかも今回のテーマは読書。日常のワンシーンが自分の読んだ本のワンフレーズで彩られる。私も読書家ではありますが「そんな感性は自分にないよな」と羨ましく感じます。そんなに急いで一冊の本を渡り切ろうとしなくても良いんだ、と改めて感じさせられました。
　１月にして、今年のベストになってもおかしくないくらいの本との出会いだったなあ。あっという間に惹き込まれてしまいました。

　ここ２年くらい、年末にXでその年に読んだ本のベスト10冊くらいを小説と非小説に分けてポストしています。（初読本縛りで）
　今回読んだ3冊は、どれも非小説部門の2024年間ベストに入って不思議のない本ばかりでした。
　いやあ、いい1週間だった！
　来週はいよいよ今年のテーマの１つ『銀河英雄伝説』本編全巻再読チャレンジスタート。
　毎月文庫1冊をメドに読み進めます。

蝦読weekly 20240114～0120