　蝦読weeklyです。

桜木紫乃著　『俺と師匠とブルーボーイとストリッパー』
　キャバレー「パラダイス」で働く青年と営業に来た芸人たちとの数日間。
　著者の物語は逆境の中でも逞しく強く生きる人間の姿を描くものが多いように感じていますが、とにかく「逆境」が強烈でツラかったりもします。そんな中で本作は、たしかに厳しい境遇の中で生きている人たちであり、逞しさや強さを描く基本の部分は変わりませんが、加えて明るさがあるので一層「生きるエネルギー」のようなものを感じさせられます。メインの4人組のバランスが非常に良くて、楽しい気分のまま読み終えました。
　明るさを感じさせる作品が好きな私にはピタッとはまった作品。『裸の華』がマイベスト・オブ桜木でしたが、並んだかな？

曲亭馬琴著　『南総里見八犬伝　二』
　江戸時代の大作家による戯作。
　八犬伝読みチャレンジ継続中。二は親兵衛が犬士だと判明するまでがまとめられています。子どもの頃から読んできた抄訳でも、しっかり描かれていたところですし、わかっている展開なので読むのもスムーズ。変わらず曲亭馬琴という人の想像力とストーリーテラーぶりには感心させられます。
　それにしても、息が絶える間際の長台詞といったら（笑）。こんなにしゃべらんし、しゃべられないよ！　とツッコみつつ、そんな場面もまた楽しんで読みました。

紫式部・堀越英美著　『紫式部は今日も憂鬱』
　平安時代の大作家が遺した日記を令和言葉で訳した本です。
　NHK大河ドラマ『光る君へ』第1話が想像以上に面白く、『源氏物語』だけではなく紫式部についても知りたいなぁと思い立ち、書店で見つけたものを購入。堅苦しくない訳で読みやすい。紫式部の考え方だけではなく、周囲の人たち、当時のしきたりも描かれ、「ほう」と気付かされることがたくさん。面白い読書時間を過ごしました。日記の部分よりも後半にあった女房たちのことを語る部分や自身を語る部分は思わず笑ってしまいました。清少納言評がひどすぎる。
　この手の本を読むと「〇〇の内侍」「〇〇の大輔」「〇〇の君」が多くて、いつも混乱するのがネック。仕方のないことではありますが。

　実は書店で狙っていたのは講談社学術文庫の全訳版だったのですが、手にとって見ると後半のページが折れ曲がっていて、これは誰が買うんじゃー？　状態でした。結果として『紫式部は今日も憂鬱』に出会うことができて良かったのですが、こういうときって書店に伝えるべきなんでしょうかね？

蝦読weekly 20240107～0113