とろっとろの黒いやみ | -

とろっとろの黒いやみ

俺には霊感がないが、ぞわぞわと鳥肌が立つような感覚になる経験っていうのは腐るほどあって、それっていうのは俺の目に見えてないだけで、実は何者かが俺の背中に手を突っ込んでるのかも知れないとも思う。

そーゆ体験がつい最近あったよ。

俺の場合、道歩いてる時に体験しがちね。ゾワゾワ感。

道歩いてる時のゾワゾワ感ってのは、実は、結構他の場面でのゾワゾワ感と違ってて。

例えばさあ、風呂場でとか廊下でとか、そういう場所での怖さって「後ろを振り向く怖さ」だと思うのね。鏡ごしに後ろを見る恐怖もこれに含まれると思うわ。
で、「前にいる怖さ」ってのはドア開ける時とかなんだけど、それって強盗殺人者に対する恐怖心だと思うのよ。
怖いのは怖いけど、実体がある攻撃者に対する恐怖。
もう一つ、「遮蔽物の向こうの怖さ」ってのがあって、これってカーテンをめくる恐怖とか、窓を開ける恐怖とか、物をどかした先にある恐怖。
これは、おそらく「おぞましいもの」に対する恐怖だと思うっす。ゴキブリ、死体、腐肉とかね。

でも、道を歩いてる時に前方に感じる恐怖っていうのは、実体のないものでありつつも、切実に生命の危機を感じる恐怖なんだよ。
これって、夢でもよく見る恐怖なんだけれど、簡単に言うと「自分が死に向かって進んでいる」ような気がする恐怖なんです。この世界のどこでもない場所に紛れ込んでしまったような恐怖。
でもってそれって実は家のすぐ近所にもある恐怖なんだよね。
地形と建造物と時間帯によって産み出される異空間。
このゾクゾクって、恐怖は恐怖なんだけど、ある意味実に好奇心を刺激される感覚でもあるんだよ。
そこに漂う空気って非常な質量があって、呼吸するととろっとろの黒いやみを吸い込んでいる気がする程なんですよ。

自分のおうちのすぐそばにあるかも知れないそういう場所を、見つけるために散歩しているのかもしれないよ俺。