ただひたすらに、繰り返し | -

ただひたすらに、繰り返し

藤沢周平を読んでいる。ただひたすらに、繰り返し読んでいる。

わたしは藤沢周平作品が本当に好きなのである。
特に武士の斬り合いが描かれる作品が。

好きな作家は誰かと尋ねられ、藤沢周平だと答えると、しばしば戦国武将や坂本龍馬、新撰組などに興味があるのかと聞かれる。

いや、興味ないのである。

歴史には興味ないのだ。実在したとされる人物の物語、伝記、そういうものに興味がないのである。

ちゃんばらが好きなのだ。

もちろん、藤沢周平作品の中にも、実在したとされる人物をモデルにした作品はいくつかある。
歌麿や直江兼嗣、明智光秀や新井白石等。また、人情物、市井の人々を中心に据えた作品も多々ある。
どれも魅力的な作品ばかりなのだが、それでもわたしは『用心棒日月抄』や『よろずや平四郎活人剣』、『隠し剣シリーズ』『秘太刀馬の骨』『たそがれ清兵衛』などを繰り返し繰り返し読んでしまうのである。

ちゃんばらが好きなのもそうだが、ちゃんばらがあることで同じ作品の中に描かれるユーモアや悲哀、悲恋やほろりとくるようなエピソードがより一層引き立つように思う。

だからこそ数多くの作品がドラマや映画になっているのだろう。
分かり易く、受け入れられ易い、それでいて深みのあるドラマが藤沢周平作品にはあると思う。

その中でも『隠し剣』シリーズの中の一篇、「女人剣さざ波」はもう、本当に好きで好きで、
読む度に泣いてしまう。なんというか、もう堪らないものがある。
ぜひ一度読んで欲しい。素晴らしい短編だ。