私がその会社のエグゼクティブ達から得た彼らの思いは、自分のいる会社のエグゼクティブから得る印象と大分違いました。

彼らは人を育てること、リーダーを輩出することがビジネスを伸ばす基本である…と、深く承知していました。彼らは日本の社員が日本で活躍するだけではなくて、世界のチームの一員として活躍出来る様になるためにはどうしたらいいのだろうか…そういう問いを私に投げかけて来たのです。

面接を終えて、私は日常に戻りました。

自分のオフィスの机に座り、その違いを考えました。
ビジネスのヘッドはその上に、毎月よい報告をすることのために部下を使っているのは明らかです。基本的にビジネスをコントロールしていないので、ちょっとした問題が起こると、それで不安が増幅されます。その不安を担当者に押し付けて撃ち殺すことで、禊をした様に見せます。

「悪いニュースは聞きたがらない」

良く言われることです。それは基本が不安で仕方がないという裏返しです。自分がマネージしていれば、悪いニュース程早く聞きたいからです。

すっかり忘れていましたが、自分が全くその場に居合わせただけで罪を全部押し付けられたのと同じ様に、他にも一人飛ばされた不幸な人が居た事を思い出しました。(こちらの記事にしてありましたね)
ここから後も、言われない責任をなすり付けられて辞めて行った人達は続いています。

そうして、私の上司はビジネス経験の全くない人でした。
「ビジネスを経験したい」と、上奏したところ、他のビジネスでの長年の献身から「うい奴じゃ」と重用され抜擢されたのです。

例えば、履歴書を並べてみるとします。シンガポールのBさん、私、そして上司。
名前を隠して公平な目で見たら、誰が一番ビジネスのポジションで未経験であり、そのポジションを占めるのに成長が必要かといったら、Bさんと私の上司であるのは明らかです。けれど、彼女が一番ジョブグレードが高く、Bさんにそのポジションがオファーされることはありませんでした。

その上のビジネスヘッドが周りをビジネスの出来る人で固めたいと思っている訳ではないというのがよくわかります。

こうして、私も一歩一歩次のステージへ歩み始められそうな状況になればなるほど、如何にそういった理不尽さとか、不安から来る狂気がこのグループでは起こり得ることとかを意識しない様に押し殺していたのか、認識する様になったのです。

平たい言葉で言うならば、出られそうになったので、もうそういうトップの不安から来る責任の押しつけという理不尽さに怯える必要がなくなって来てほっとしている…そんな自分を見つけるのです。