今週ちょっと、「世の中変わっちゃったんだなぁ」という衝撃的な体験をしたのでシェアさせてもらおうと思います。

日本の支社から「若い子には旅をさせよ」ではないですが、3ヶ月間の期間限定で本社に仕事に来ている人達がいます。その人達を呼んで、日本出身でアメリカの事業部の経営を任されている人が食事会を開いたのです。

ちょっと判りにくいかと思うので、平たく言うと…
日本の支社出身で最も成功している人から、入社4~5年位の有望な社員に食事のお誘いがかかった
ということです。

私ともうひとり、本社採用の日本人の同僚もついでに誘ってもらいました。


もの凄く忙しい人です。世界を相手にトップを張っている訳ですから。
でも、会社のこれからを背負って行く人達へのエールを送る気持ちもあって、時間のやりくりをしてくれてごちそうしてくれるということだったんですね。

さて、当日。。。

指定のレストランに一番に到着したのは私と現地採用の同僚くんでした。その次に到着したのは、そのエグゼクティブです。しばし遅れて、若者4人がちらほらと現れ始めました。

一人現れたあと、エグゼクティブが
「残りはどうした?」 と、聞くと

「一人は日本と電話会議してます」といいます。レストランの外で日本と電話で話していたのでした。そして、もうひとり、出席者が「私日本と電話会議があるので、早めに失礼します」と言うのです。

エグゼクティブは怒りませんでしたが
「ここへきたら日本のことなんて忘れちまえ」とアドバイスをしたのです。

どうせ、3ヶ月本社へ来ただけで自分の担当のプロジェクトが劇的に進展する…なんて、甘いことはあり得ないんですね。むしろ、その3ヶ月を使ってどれだけ自分の人脈を広げられるか、本社の人に自分のことを覚えてもらうか…その方がクリティカルなのです。

けれど、真面目な日本人の青少年は、自分のプロジェクトの進展だけを考え、毎日日本と電話会議をして、「自分が居なきゃ仕事まわんないし~」みたいな変な責務と優越感で、その日その日の仕事をこなし、目の前に拓けているいろんな可能性を見ようとしていないのでした。

本来、日本の支社出身で最も成功している人が食事をごちそうしてくれる…だとしたら、
「何をどうすれば成功出来るのか?」って聞いてみたいと思いませんか?
「忙しいのに自分たちに時間を使ってもらってありがとうございます」と思ったりしないでしょうか?

彼らからそういう質問や感謝の言葉は一切出ずに、ただ美味しく御飯を奢ってくれた…という一晩を過ごして彼らは家路につきました。

現地の同僚が私に尋ねました。

「えびのりさんは、誰かに教えてもらってアメリカに飛び出して来た訳じゃないですよねぇ?」
「違いますよ。アメリカのほうが可能性があると思ったから出たんです。」
「じゃあ、それを見抜ける力の有る無しって、トレーニングしたら身に付くものなんでしょうか?なんだか、僕はこれはトレーニングで身に付くものじゃない気がするんです。見えない人には見えないし、見える人にはどんなにチャンスの扉が開いている時間が短くても見える。そういう気がします」

そういう同僚も、日本の大学でPhDを取ったあと、日本の大学に居残って少ない准教授の席が空くのを待つ代わりに、アメリカに飛び出していった人なのです。

「あなただって、誰かに教えてもらってアメリカでポスドクした訳じゃないですよねぇ?」と私が尋ねると
「そうです。周りからは『バカなんじゃないの?無謀だよ。絶対失敗するからやめなよ』って散々言われましたけどね。でも、結局僕は失敗しなかった」

海外に出ることだけがやらないと行けないことではありません。でも、「既定路線」あるいは「このまま行ったら大体このあたりに落ち着く」という所に進んで行ってしまう人と、チャンスやピンチをピンと捉えるアンテナを持っている人というのが2種類居るのは事実なのです。

そのまんまチャンスを捉えられない人が「考えていない」とは言っていません。その人なりに一生懸命考えているんです。

でも、この食事会は自分の人生の肥やしにする良い機会であったはずで、それよりも上司との電話会議の方が大事だというプライオリティの付け方自体、実を言うと私の想像を絶するものであった…ということなのです。

もちろん私も忙しいんですよ(笑)。悪いけれど、彼らよりビジネスにインパクトを与えると言う意味では遥かにインパクトを与えられるポジションや経験・動き方をしています。でも、そのエグゼクティブが「食事を」と言った時、私はその気持ちが判ったからその日のスケジュールをちゃんと開けて準備をしたのでした。

彼らは、本社の社長に万が一食事やミーティングに呼ばれたとして…「上司との電話会議がありますから」と、断るのでしょうか。

余りに素直で保育器で育ってしまった危うく脆い子供達…

そんな印象を持ちました。