ある日、感情のままに
「不倫相手なんてブスじゃないの」
と夫に言い放った妻がいました。

その一言に、どれほどの怒りと屈辱と悲しみが込められていたか。
そこに嘘はなく、心の痛みそのものだったはずです。
けれど、その瞬間——
おそらく夫の心は、完全に凍りついてしまった。

正しさを盾にするほど、

人は自分の『醜い部分』を見えなくしてしまいます。


怒りの奥には、裏切られた苦しさや喪失感がある。
でもそれを見つめるのは、あまりにも怖い。
だからこそ「攻撃」に変えて自分を守ってしまうのです。

けれどその方法では、
相手の罪悪感より先に「拒絶」だけが強く残ります。

そして、その拒絶は『もう二度と心を開かない』という形で返ってくる。



夫が悪かったとしても、

妻の中の「正しさ」だけが前面に出ると、

2人の間にあった『人と人としてのつながり』が途絶えてしまう。



正義の裏には、痛みを覆うための必死な防衛がある。

そこに気づけたとき、人はようやく「自分を責めなくていい」という回復の入り口に立てるのかもしれません。


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