彼はいま、痛みの中にいる。
けれどそれは壊れる痛みではなくて、
生まれ変わるための痛みだ。
長く着ていた鎧を脱ぐと、肌がひりつく。
でも、その痛みが「もう嘘をつかずに生きている証」でもある。
それは、出産の痛みに似ている。
苦しみじゃなくて、新しい生命を押し出すためのエネルギー。
彼の中で、古い価値観や役割が崩れ、
新しい呼吸が始まっている。
もう「心が生きていない場所」では生きられない。
私は、ただその変化を見守る人でいようと思った。
助けるでもなく、導くでもなく。
ただ、『痛みを希望に変える瞬間』のそばにいるために。
