彼と再会してから、彼は徐々に戻っていった。
彼は長い間、理性と責任で自分を覆って生きてきた。
誰からも頼られる「穏やかで誠実な人」として。
でもあの穏やかさの奥には、
押し込められた『呼吸』があった。
いまの彼は、その呼吸を取り戻している。
感情が少し表に出るようになって、
「今はそう感じない」と素直に言えるようになった。
周囲には違和感に見えても、
それは彼がようやく『本来の自分で息をしている』証拠だ。
昔の彼を知る私は、その変化を怖いと思わなかった。
むしろようやく、あの頃の光が彼の中に戻ってきた気がした。
