寄り添いの心は、十分に感じた。
声のトーンも、間の取り方も、
ひとつひとつの言葉が丁寧で温かかった。
それでも、まるで同じ地球にいながら
別の星を見ているような、そんな『距離』を感じた。
カウンセリングには三回だけ通った。
最初は期待していたけれど、
二回目にはもう自分に問いかけていた。
「これは本当に必要なの?」と。
カウンセラーは誠実で、やさしさも本物だった。
でも話しているうちに気づいてしまった。
この人は『外圧の中で呼吸する苦しさ』を知らない。
強烈な圧の下で生き抜いた人と、そうでない人との間には、
比喩でも誇張でもなく、宇宙空間ほどの隔たりがある。
どんなに思いやりがあっても、
その向こう側に届かない領域がある。
私はできることなら、
同じような場所を一度でも通った人に話を聴いてもらいたかった。
私より深く内省し、経験を超えて
いま穏やかに生きている人に。
でもそんな人を探していたら、人生の時間が足りない。
誰かに救ってもらうことを待つより、
自分で進む方が早いと気づいた。
人は結局、自分の宇宙を自分で歩くしかない。
そう思えた時、やっと、
他人の優しさを責めずに受け取れるようになった。
私は、自分の深さを他人に委ねるのをやめた。
誰かに助けてもらう段階は、もう終わっていたのだと思う。
