家族のために、会社のために、
正しく在ることが当然だと思ってきた。

誰かを守ることが自分の存在理由になって、
それ以外の顔を、少しずつ置いてきた。

「優しい人」「頼れる人」「穏やかな人」
そう言われるほど、

自分の中の『誰にも見せない自分』は小さくなっていった。



誰も悪くない。
ただ、家族という仕組みの中で、

『夫』という役を長く演じ続けた結果なのだろう。



ときどきふと、
静かな夜に、
「本当の自分はまだここにいるのか」と思う。

答えは出ない。
でも、少なくとも、
誰かの期待の中ではなく、
自分の呼吸で生きてみたいと思うようになった。