たぶん、あの家はこれからも変わらない。
同じ時間が流れ、
同じ会話が交わされていくのだと思う。

それを壊したいわけじゃない。
ただ、自分の中で何かがもう戻らないことを、
はっきりとわかってしまっただけだ。

以前のように笑うこともできる。
必要な言葉を交わし、
必要な場面では家族を守ることもできる。

けれど、その中心にはもう、
自分の心がいない。
そこにいるのは、役割を演じる自分だけだ。

昔は、それでもよかった。
守ることが愛だと思っていた。
でも今は違う。

守ることで、自分を置き去りにしてきた。
その積み重ねが、
いつの間にか心の居場所をなくしていたんだ。

たぶん、もう戻れない。
でも、それを悲しいとは思わない。
ようやく、自分の中の真実に気づけただけだから。