本音を言わなくても、生活は回る。
仕事も家も、何事もなく続いていく。
それでいいと思っていた。



でも、ふとした拍子に、

その「何事もない」が、妙に苦しく感じることがある。
静かすぎる夜や、
言葉のない食卓の時間に。




家族の前では、笑っている。
ただ、それはもう長く続けてきた表情で、
自分でもどこまでが本物なのかよくわからない。




怒っても仕方がない、
悲しんでも意味がない。
そう思って感情を封じてきたけれど、
封じたものは消えたわけじゃない。
心のどこかで、まだ息をしている。





誰かに気づかれたいと思ったことがある。
声をかけてほしいとか、
慰めてほしいということじゃない。




ただ、「あなたがいる」と感じてもらえるだけでよかった。







それだけで、
この静かな世界にも少しだけ色が戻る気がした。