家では父親として、
職場では責任ある立場として。


誰かのために動くことが当たり前になった。
そうしていれば、一日が過ぎていく。
考えるより、動く方が楽だった。



頼られるのは悪い気がしない。
でもそのうち、
頼られないと落ち着かなくなっていた。
役に立っていないと、自分の存在が薄くなる気がした。



それが習慣になると、
自分のことを後回しにするのも、
気づけば自然なことになっていた。




気を抜けば、
誰かの顔色を見てしまう。

無意識に『次に何を求められるか』を考えている





そうしていくうちに、
何を望んでいたのか、思い出せなくなった。
好きなこと、嫌なこと、
心の中の差がどんどんなくなっていった。





たぶん、こうして空っぽになっていくんだと思う。
でも、それを誰かに見せるわけにはいかない。
家族の前では、
いつも通りの顔でいなければならないから。