「離婚してから付き合えばいい」
そう言う人もいます。
けれど、彼はその順序を選びませんでした。

でも、私たちは『付き合っている』と言えるのかはわかりません。




気持ちは確かにそうなのに、
彼から「付き合おう」と言われたことは一度もありません。
かつて、まっすぐに私を見て告白してくれたあの頃とは違って、
再会してからの彼は、言葉を慎重に選ぶようになりました。




彼にとっては、
離婚よりも先に、自分の中を整理し、
これからどう生きるのかを見つめる時間が必要だったのだと思います。






この数年、彼は動かない時期が長くありました。
何かを諦めていたわけでもなく、
ただ、すぐに結論を出さないまま現実と向き合っていたように見えました。




その姿を見ているうちに、
「誠実である」というのは、
正しい行動をすぐに選ぶことではなく、
時間をかけて自分の心に嘘をつかないように生きることなのだと感じるようになりました。




彼の中での気づきは、

結婚生活を長く続けてきたからこそ得られたものだと思います。



日常の中で積み重なった違和感や、人との関係の中で感じた矛盾を受け止めていく時間が彼を少しずつ変えていったのでしょう。






彼から何かを伝えられたわけではありません。
それでも、これまでとは違う確かな静けさを感じます。

彼はいま、誰かを裏切るのではなく、
自分を裏切らない選択をしようとしています。

時間をかけて、ようやくそこまで来たのだと思います。






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