「してはいけない」と思うほど、心は強く惹かれてしまう。
秘密やスリルのある関係は、脳を強く刺激し、
一瞬の高揚を『特別な感情』と錯覚させます。
けれどそれは、相手が特別だからではなく、
心がそう感じるように仕向けられているだけなのです。
だからこそ、夫の「彼女じゃなくてもよかった」という言葉には残酷だけれど現実的な一面があります。
惹かれた理由は、相手そのものではなく、
『心の穴を埋めてくれた存在』としての役割だったのかもしれません。
そして、それは妻に対しても同じことが言えます。
夫の「誰でもよかった」という言葉の本質は、
相手の価値ではなく、自分の内側の『欠け』を埋めようとする衝動にあります。
結婚もまた、同じ構造の上に成り立っています。
『この人こそ』と思ったとしても、
それは自分の孤独や不足を満たしてくれる相手を、無意識に選び取った結果にすぎない。
不倫も結婚も、動機の根っこにある脳の働きは同じ。ただ、方向が違うだけなのです。
——ただ、その構造を理解したうえで、
それでも「出会うべくして出会った」と思える人がいるなら、
それは錯覚ではなく、人生の必然の一部なのかもしれません。
私自身、彼のそのタイミングに出会えたことを、
偶然ではなく、静かな必然として受け止めています。
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