「不倫して、年齢を重ねていく相手。
結婚も出産もしていない。
どんな気持ちなのだろう」と。
その言葉には、怒りというよりも
「私は正しい場所に立っている」という安堵が透けて見えます。
けれど、結婚や出産を選んだ人生が上等で、
独身のままの人生が劣っている——そんな区別は本来どこにもありません。
たとえば私自身、結婚や出産を経験しましたが、
それは『独身のまま生きる人生』と引き換えにした選択でもあります。
人は誰しも、ひとつの道を選ぶたびに、
選ばなかったもう一つの未来を失っていく。
そこに優劣などないはずです。
「自分は正しかった」と確かめるために、
他人の人生を見下ろしてしまうと、
その思考は必ず、日常のどこかで顔を出します。
それは言葉の端々に、表情のわずかな影に。
一緒にいる人を、静かに疲弊させていく。
人を裁くことで自分を保つより、
自分の選んだ道に誇りを持てた方が、ずっと自由です。他人の人生を見下ろす必要がなくなるからです。
※ 記事の内容や表現は筆者のオリジナルです。
引用・転載・リブログなどの無断利用はご遠慮ください。