不倫のあと、夫婦の間に横たわる『温度差』。
これは、再構築を最も難しくしている現実かもしれません。


不倫をした側の夫は、発覚した時点ですでに心の整理を始めています。

罪悪感や後悔がまったくないわけではないけれど、その多くは「いかに日常を穏やかに戻すか」という方向に向いている。


つまり、夫にとっての落ち着きとは、
妻の心が癒えることではなく、自分が責められなくなること。


一方で妻は、突然奪われた信頼を取り戻したいと願い、何度でも気持ちを伝え、理解を求めようとします。

けれど夫の中ではもう「気持ちを分かち合う関係」は過去のもの。



妻がまだ『夫婦の延長線上』にいるのに対して、
夫はすでに『個人としての自由の入口』に立っているのです。


この温度差こそが、再構築を最も難しくしている要因です。



妻は『まだ愛しているから立て直したい』と思う。

けれど夫は『もう気持ちが離れたから穏便に終わらせたい』と感じている。


つまり、一方は元の関係を取り戻そうとし、もう一方は静かに終わらせようとしている。
同じ方向を見ているようで、実際にはまったく別の地点に立っているのです。



もし本当に関係を立て直したいなら、

まずその温度差を「存在するもの」として認めることから始めるしかありません。



同じ温度になるまで待つのではなく、

違う温度のままでも、お互いがどう在るかを見つめ直すこと。
そこにしか、新しい関係の芽は生まれないのだと思います。



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