彼が以前、「そのうち本気出す」と笑って言っていたことがありました。


その時はまだ、何を本気でやりたいのか、自分でも定まっていなかったと思います。

ただ、どこかで今のままでは満足できない予感だけがあったのでしょう。





あれから時間が経って——彼は静かに、でも確実に動き始めました。


肩書きや役職ではなく、自分で選び、自分で決める生き方へ。


誰かに与えられた役割をこなすのではなく、自分の意志で未来を描く方向へ。





私はその変化を、ただ驚きながら見つめていた。

まさかこんなに動く人だったなんて、と心の中で何度も思いました。




でも、考えてみればそれは彼らしい。

熟考して、納得して、動くときは一気に加速する。そんな人でした。






もしかしたら、私の言葉や態度のどこかが彼の中で響いていたのかもしれないです。



けれど、私が何かをしたというより、彼が自分自身に気づいていったのだと思うのです。

彼の中にあった本気を出す準備が、ようやく整ったのでしょう。




誰かの背中を押すというのは、声をかけることではなく、黙って見守ることなのかもしれないと思います。

彼が進む速度にただ驚きながらも、その光景に立ち会えたことが嬉しいです。




人が本気になるのは、誰かに求められたからではなく、自分の中で納得し、そうしようと決めた瞬間からなのだと思います。

彼を見ていて、そう感じました。





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