特に夫婦関係においては「私だけを選んでくれた」という思いが強い支えになることがあります。
けれど、不倫や裏切りが起こったとき、この言葉は大きな矛盾を抱えることになります。
◆ 幻想① 「唯一無二は契約で守られる」
結婚という制度や契約が、唯一無二を保証してくれる。
そう信じた瞬間に、現実とのズレが始まります。
唯一無二は紙や制度に守られるものではなく、日々の関わりや心のあり方にしか存在できません。
◆ 幻想② 「裏切られても唯一無二である」
不倫が発覚しても「結局は私が一番」「夫は最後は私のもとに戻る」と信じようとする人は少なくありません。
これは、自分の存在価値を守るための自然な反応です。
もし唯一無二を手放してしまえば、結婚という選択や今まで積み重ねてきた年月が、まるごと否定されたように感じてしまう。
だからこそ、矛盾があっても「唯一無二は揺らいでいない」と思い込みたくなるのです。
けれど現実には、人は同時に複数の相手に心を動かされる存在です。
「唯一無二であるはず」という物語を強く握りしめるほど、その現実との落差は大きくなり、かえって苦しみが深まってしまいます。
◆ 幻想③ 「唯一無二は努力で取り戻せる」
「もっと頑張れば、また唯一無二になれる」と考える人もいます。
けれど一度揺らいだ幻想を、努力で『元通り』にすることはできません。
できるのは、新しい関係を築き直すことだけです。
◆ まとめ
唯一無二という言葉は、安心や愛の証としては大きな力を持ちます。
しかしそれは「現実」ではなく、多くの場合「信じたい物語」に過ぎません。
唯一無二を守ろうとするよりも、現実を見て新しい関係をどう築くか にこそ出口があると感じます。
💡 次回は
「正しさと幸せは比例するのか」
について考えてみる予定です。