僕は30年の人生のうち、16歳ころから7年半ほど断続的に引きこもっていました。

その経験から、思うことを書いていこうと思います。

 

引きこもりになる原因は、人それぞれ違うと思います。

「仕事や会社になじめなかった」「大学受験に失敗した」「学校でいじめられた」

様々あると思いますが、社会との関わりの中で、深く傷つき、挫折し、自信を喪失してしまう。

 

僕もそうでしたが、部屋から一切出ず、家族と会話も殆どなく、心を閉ざしている。

心を閉ざしてしまっている理由は、本人にとって耐え難い経験をして、失望している。

これ以上、「社会と関わって傷つきたくない」という自己防衛反応だと思います。

 

ここでいう社会は、家庭内もそうです。

ですから、家族とも極力接触をしたくないのです。

 

引きこもり=馬鹿 ではないです。

一生引きこもっていては生きられないこと。このままでは良くないこと。

自分の頭で分かっています。

 

大切な家族に心配・迷惑をかけている自覚もあります。

だから、周囲のマトモな人々、社会で生活する人々に対して劣等感を感じて傷ついています。

心は決して健康でなく、ボロボロなんです。

 

だから、家族の方にお願いです。

本人を追い詰めないで下さい。

 

「このまま引きこもり続けるつもりか」「なんでもいいから働け・学校いけ」「お前だけだぞ」「恥ずかしくないのか」

言われなくたって、一生続けられない事、こんな自分は劣等生でお荷物なこと、全部分かってるし、自分が一番恥ずかしいんです。

 

だから、目も耳も心も閉ざして、見えない聞こえないフリをして、必死に自分(自尊心)を守っています。

仮に開き直っている様に見えても、それはやはり自尊心を守りたい、自己防衛の反応で、頭では分かっていると思います。

 

じゃあどうすれば良いんだ という話ですが、私が思う事を書きます。

まず、人間だれしも承認欲求を持っているということです。

 

だから、家族の人には、引きこもっている人を認めてあげて欲しいのです。

今なんらかの理由で外の社会で深く傷つき、自室にこもっている人は、外の社会で生活していた頃、なにか思うように行かず、結果傷ついて自信を無くしてしまったんだと思います。

 

だから、今の状態を嘆くばかりで、どうしたらいいんだと悩むだけではなく、まずは頑張った事を認めて欲しいです。

そして、休息も必要だと理解してあげて欲しい。

年齢的に難しい人もいるかもしれませんが、親が死んで本人ひとりになっても、最悪国が生かしてくれます。

 

生活保護を受けたって、生涯独りだろうと、何も恥ずかしくない。個人を認めてあげて下さい。

周りからは孤独に見えるかもしれませんが、実はインターネット上に交友関係があるかもしれません。

周囲が理想の生き方モデルを押し付けないで下さい。

 

本人を信じて、それを言葉で伝えて下さい。

一番小さな社会の家庭で認めて貰えないのに、一度痛い目に遭った外の大きな社会にまた出ていく自信が戻るはずがありません。

 

可能であれば、命令口調や上からでなく、謙虚に家庭内の簡単な事をお願いしてみるのはどうですか?

例えばパソコンの操作を教えてくれないかとか、高いところの電球を変えてくれないかとか

なんでもいいです。

 

「自分が必要とされている」という感覚、自信を少しずつ取り戻す事が出来れば

社会(家庭)の一員に戻る一歩に繋がるんじゃないかと思います。

 

最後に、特に家族とのコミュニケーションが取れていない状態で一番やめて欲しいことを書きます。

それは、まったくの他人つまり役所の人間や支援団体・業者を、本人の同意なく本人の目の前に連れてくることです。

 

本人からすれば、家族にも心を閉ざしているのに、その家族が依頼した訳のわからない自称専門家の赤の他人。

最悪に信用できません。

もしそれが上手く作用するとすれば、それは本人の心がほとんど癒えていて、「なにか社会に戻るキッカケが欲しいな」と考えているときだけだと思います。

 

全てのそういった団体を悪とするわけではありませんが、順序があるということです。

本人の知らないところでコッソリ相談するのはアリだと思います。

本人の事を思うなら、まずは本人を尊重して下さい。

 

僕は別に専門家なんかではなく、ただの元ひきこもりです。

ただ、一度経験しているからこそ、同じ境遇の人の気持ちは良く分かるつもりです。

今は普通の会社でなんとか普通に働いて暮らしていますが、将来的にはひきこもりの人や家族の役に立ちたいと考えています。

 

なにかご質問などありましたらお気軽にどうぞ。