昨日、ババの幼稚園が卒園式だった為にババは卒園生の父兄から頂いた綺麗な花束を抱えて帰ってきた。
朗らかに咲くオレンジ色の花が元気を分けてくれる。
ピンクや黄色やオレンジの花は素敵だ。


花は仏壇へ。
花を束ねていた綺麗なリボンは虎太郎が貰った。

紙袋とか、箱とか、リボンとか、紐とか、ねじねじとか…本当に何て事ない物が、彼女達にとってはspecialな玩具になる。
喜んで遊んでくれる姿を思い描きながら買ってきた玩具は、あっと言う間に飽きてしまう。


リボンや紐は、長ければ長いほど喜ぶ。
此度のオレンジ色の少し張りのあるリボンは虎太郎にとって百点満点だったらしい。
瞳がキラキラしている。


私は新之助と海老蔵と虎太郎の母であり、オーナーであり、下僕である。


虎太郎は、一人遊び出来る癖に、敢えてしない。
己の前にリボンを置いて
私を呼ぶ。
呼び続ける。
遊び相手になるまで呼ぶ。

かなり執拗なタイプだ。

犬じゃなくて良かったよ。
近所迷惑になっていた。


虎太郎の声は、
鈴の音みたいだから。


たくさん遊ぶ。
遊び疲れるまで遊ぶ。
容赦ない。

たくさん遊ぶと眠くなる。眠くなると、ぬくもりが恋しくなる。抱っこしてくれと、鳴く。
右腕に、ずっしりと重量感のある脳味噌がギッチリ詰まった頭を乗せて眠る。


虎太郎は自由で不自由だ。新之助も海老蔵も然り。


決められたスペースの中でしか生きられない。

雨の冷たさを知らない。
射すような日射しも知らない。



クルクル回転するババの椅子にリボンを巻いて遊んでいたら、いつの間にかリボンが絡んでしまったらしい。力任せにグイグイ引っ張ったら益々取れなくなってしまった。

取ってちょうだい。

また呼んでいる。


…ハイハイ。

虎太郎がギーってしたから汚れちゃったね。


汚くなったオレンジのリボン。一日しか使えなかったね。回転部分に絡んじゃったから油汚れが着いちゃった。これじゃ、良くない。
これはもう使えない。
残念だね。
仕方がないから、別のリボンを探してあげよう。


代替品の少し短い黄色リボンと引き換えに、オレンジのを捨てた。


短く不満そうな声で鳴いた。

また後で遊ぼうね。