抗微生物薬適正使用の手引きを見直していたら、追加で色々見つけましたので、今までのものに補足を。

以前のは以下よりその1~6+適正使用についてを参照

抗生物質使用のガイドラインのポイントその1 ~ 抗生物質使用のガイドラインのポイントその6

 

補足なので、私的用に書いていきますのでご了承を。

 

・適正使用の手引きはあくまで外来のガイドライン的位置づけなので、入院患者やアレルギー等は例外として専門医が必要な処置を行う

・抗菌薬が必要ではないと思われる疾患にも抗菌薬が処方されている現状から総合的に判断し、基礎疾患が無い患者を対象としたガイドライン

・自然軽快する病気に無条件で抗菌薬を出す必要は無い

・感染症予防により、病気を予防し、さらに抗菌薬の使用を減らす

→①流水による手洗いアルコール消毒は一定の効果があると思われる

 ②予防接種:上気道感染症(風邪など)や胃腸炎などに有効な予防接種もある

 ③咳エチケット:空気感染による感染をもらわない。うつさない。

 ④うがい:ⅰうがい無し ⅱ水でのうがい ⅲヨード製剤によるうがい

→うがいなしよりうがいありの方が風邪の発症率は低いが非盲目試験であることや、無作為試験では有効性が証明出来なかったことで、うがいの有益性はまだ結論が出ていない

・急性気道感染症(風邪など):9割がたウイルスが起因するので原則抗菌薬は不要

→二次感染性のマイコプラズマ肺炎溶連菌など場合によっては重症化するケースもあるので、それらのケースにも配慮が必要

 中程度以上副鼻腔炎に関して第一選択はアモキシシリン(副鼻腔炎へのアモキシシリンの投与について支払基金は認めている)

 溶連菌に関して第一選択はアモキシシリン10日分投与

 肺炎を患っていない呼吸器疾患については抗菌薬投与の利点は少ない≒抗菌薬は不要

 ただし、小児におけるマイコプラズマに対するマクロライド系投与は有用性が報告されており、投与が推奨される

 百日咳に関してはマクロライド系抗菌薬の投与が推奨

・咳以外の症状は1週間程度で良くなることがほとんど

咳に関しては4週間以上続くこともある、抗菌薬の投与が適切ではない場合、抗菌薬は投与しない

・風邪など症状が3~4日して改善してきたのち、再度悪化した場合、細菌性の風邪に罹患している場合がある

→この様な二峰性の症状の時に再度、抗菌薬に使用の有無を考慮する

 

 

今後、抗生物質(抗菌薬)は減少させる方針ですが、あくまで無作為に処方しないということであり、抗菌薬が効くと分かっている病気に対しては使用していきます。

ウイルスには抗生物質は効かない上に腸内の善玉菌を殺してしまう作用があるので、無意味な処方を減らすということで、ガイドラインが作られました。

今まで抗生物質が出された理由として

①診断の結果、抗生物質が必要な細菌による感染症だった

②抗生物質が必要な感染症か、抗生物質が不要なウイルス感染症かの区別が不十分だった

③抗生物質を出したら患者さんが良くなったといった経験から

④抗生物質を出してほしいと患者さんからの要望から

→①に関しては抗生物質が出されるでしょう。

②~④に関しては必要が無い旨を言われ、今後出なくなる可能性があります。

しかし、②~④は抗生物質が不必要なので、本来、今までも出す必要はなかったのですが、患者さんの安心のためと黙認されていたケースが多々ありました。

 

ある患者さんから、あそこの病院ではもう抗生物質は出してくれないと聞きました。

それはこのガイドラインにそって診た結果①に当てはまらなかったので出せないと言うことだったのだと思います。

今後、徐々にこの動きが広がっていくと思いますが、ご理解のほどよろしくお願いします。

 

小児科外来診療料及び小児かかりつけ診療料を算定している病院、診療所が小児に対して不必要に抗生物質を投与しなかった場合小児抗菌薬適正使用支援加算がとれるようになりました。

 

つづき

 

 

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