神田川沿いの校舎の屋上からは学生街が一望できる。
橋を渡り、学生向けの小さな食堂や大学の校舎が続く道は神保町古書街が終着点。
すずらん通りの画材店のスケッチブックを小脇に一人前の顔で学生街を闊歩。
春には神田川北側を岸に散る桜を眺めながら湯島から不忍池へ、
さらに東京芸大前の並木道を鶯谷へ。
実習の作品提出が終えた日は友と二人で湯島天満宮へ出向き、
夕暮れ近い境内でデッサンに使ったパンの耳を鳩にやりながら夢を語り合った。
お茶の水のレモン画翠では憧れの画材をあれこれ眺め昌平橋に続く万世橋へ。
アルバイトで得た資金でたった一度だけ
「万世パーコー麺」を食べた時の衝撃は今も鮮明な映像と共に残る。
その「肉の万世本店」は閉店が決まった。
青春のメモリーがまた一つ遠く。
3月になると、
卒業アルバム制作の仕事をした日々にラジオから流れてきた荒井由実の
「卒業写真」の曲が今、懐かしい。