実在した毒見役の女性の証言をもとに描かれたという本作品。一番印象的に残っているのは、食糧難の戦時下において「豪華な料理を食べられる幸せ」と「一口ごとに命を落とすかもしれない恐怖」が常に背中合わせにある不条理さです。  
​一口食べるたびに走る緊張感、食後の「1時間」を生き延びたときの安堵感。極限状態に置かれた女性たちの連帯感やいざこざ、そして次第にその異常な状況すら日常になっていく麻痺感がリアルに描かれていて胸が締めつけられました。
​華やかな戦場の陰で、一般の女性たちがどのように戦争に巻き込まれ、人生を狂わされていったのか。派手な戦闘シーンこそありませんが、食卓という静かな空間だからこそ伝わってくる「反戦」のメッセージが強く残る作品でした。
歴史ものが好きな方はもちろん、人間の複雑な心理ドラマを楽しみたい方にもおすすめの1本だと思います。