「癌」なのか「がん」なのか。
漢字とひらがなは、医学上使い分けがありますが、
ここでは最初に書いた「肝内胆管癌」で表現を統一します。
2009年10月6日。
検査を全て終えて個室に呼ばれました。
「ご本人も一緒にどうぞ」と言われたので、
一瞬、重たい病気では無い可能性もあるのかとも思ったけれど、
すでにその頃黄疸の症状が出ていて、無知な私から見ても、
夫の体に何かが起きていることは明らかでした。
「身体中が真っ黄色なんだよ。何かあるんだろうなぁ。」
本人も毎日そんなことを漏らしていました。
二人で個室に入ると、検査結果の画像がたくさん貼られていました。
主治医から伝えられた内容をまとめると、
・肝臓の3分の2が癌に冒されている
・肝臓癌ではなく肝臓内部の胆管から広がった肝内胆管癌である
・胆管が塞がっているので胆嚢がすでに機能していない
・認可されている(当時)肝内胆管癌に有効な抗癌剤は2種類のみ
・抗癌剤を使用するためにはステントを挿入してから
・癌の切除はすでに不可能
・肝内胆管癌は症例が少ないので非常に難しい
・資料は全て提供するのでセカンドオピニオンを受けて、本人と家族が納得できる治療を受けられるところがあったら迷わず治療を受けてもらいたい
ということでした。
主治医は私よりも夫へ向けて、一つ一つ説明をしてくれて、夫も自分の病状について質問をしたり、とても冷静でした。
自分の体の変化を一番感じていたのでしょうから、納得の告知内容だったのかもしれません。
夫は「頑張ります。先生、よろしくお願いします。」と頭を下げていました。
本人同席で癌告知を受けて、主治医がセカンドオピニオンを強く勧めてくれたことに、今時はこうなんだなぁと時代の変化を感じるとともに、それほど病状が悪いんだということかと絶望的な気持ちにもなりました。
病室に戻ってからどんな話をしたか、全く記憶にありません。
帰り際に主治医と廊下で話をしました。
私「主人の癌はどれくらい進行しているのですか?」
主治医「おそらく1〜2年前から癌があったはずです。若くて進行が早いです。ステージで言うとⅣクラスでしょう。」
私「余命は、どのくらいですか?」
主治医「肝内胆管癌は治療ができても予後が余り良くない種類の癌です。もしもこのまま治療がすぐに始められなかったら、年を越せるかどうかといったところでしょう。そうならないように全力で治療をしていきますが、さっきお話したように、ぜひセカンドオピニオンを受けて可能性のある治療法を見つけてください。でも、ご本人もとても毅然としています。悲観せずに戦いましょう。」
その時が10月初旬だったので、宣告通りだとすると夫の余命はあと2ヶ月ということになります。
暑かった夏はとっくに終わっていて、肌寒い時期になっていました。
すぐ目の前にある冬を越せないかもしれない、というのはあまりにも唐突で実感が湧かず、さすがにその時は頭が真っ白になりました。
続く