初来日の想い出 | It's only R&R

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「Rock'n Rollが、好きなんだって?」

まぁ、後悔は数多い人生ではあるが、
ストーンズ関連での最大の後悔は、
おそらく、一生に一度、彼らと会話が出来るチャンスをふいにした、
ということであろう。

初来日の時、私は20歳の学生だった。
卒業する年で、卒業式の前に既にある雑誌編集部に早期出社をしていた。
で、来日が決まって、記者会見をやると聞いて、
どうにかならんのか、と思い、その会社のお局に相談した。
私が入ったのは小さな編プロで、それまでは書籍とかをやっていたと思うんだけど、
雑誌創刊のためにスタッフ募集、とかいうんで入社をしたのだった。
創刊誌は4月発行くらいだったのかなぁ。
ビジネスマン向けで大雑把に言えば「人間」にターゲットをおいた雑誌だった。
で、ネタ的にストーンズも悪くないということになり、
バイトに毛が生えたような私は、企画書を持って
当時の所属レコード会社CBSソニーにお願いに行った。
見事に却下された。話はしてくれたけど、明らかにバカだった私は相手にされず、
「記者会見に来る人には既にインビテーションを送っているから、新規参入は無理」と言われ、すごすごと帰社したのである。
お局に報告したら、強気の彼女は怒り狂い、
CBSに電話をしてくれ、ごり押しでインビをもぎ取った。
でも、CBSの姉ちゃん曰く
「会社に来た女の子では話にならないので、彼女じゃない人をよこすように」
との条件付きである。なめられたもんだよな~。今思うとむかつく。でも仕方ない。
だけど、優しいお局は「どーせばれないよ」と私に行かせてくれたのである。
カメラマンと二人、記者会見に出向いた。

どこでやったのかはもう覚えていないけど、
さほど大きくないホールに、都合で来られなかったビル以外の4人が出てきた。
もの凄く近くに奴らがいた。
で、質疑応答の時、ミックがにやりと笑って言ったのだ。
「英語だけにしてくれ」と。
挙手制で誰でもが質問できた。
「京都には行くのですか?」とか「日本の感想は?」とか、
どーでもいいことしかみんな聞いていなかった。
英語力に問題があったのかもしれない。
ところが私と来たら、固まって固まって、手の一つも挙げられなかった。
手を挙げる人自体少なかったから、挙げれば絶対質問が出来たのだ。
今なら、もう聞くこと練りに練って徹夜で考えるけど、
その時はまさか質問できるとも思わず、下準備ゼロだったのだ。バカだ。

もうあんなチャンスは二度とないと思うのだけど、
あの時、ミックに何か気の利いたことが聞けたなら、
私は墓に入るまで、自慢し続けることが出来たのに。残念である。