「老後にはあなたをプランナー兼ガイド兼通訳として、悠々自適に海外旅行するはずだったのに目論見が外れた」

と家内がこぼす。

 

商社勤めの頃は海外出張が頻繁で、出張に出るときに3人の子供達それぞれに「また来てね」と言われたほど家にいる時間が少なく、家のことは全て家内任せだったから、その埋め合わせをさせたかったと言うことらしい。

それなのに私は歩くこともままならず、話せないからガイドも通訳も出来ない。

 

前回のように私がショートステイしている間に家内だけが旅行にという手もあるが、前回は海外駐在中の息子一家のところへの旅行だったから楽しかったかも知れないいが、一人ぼっちの旅行はつまらないだろう。

 

海外に行くクルーズでなら私も同行できるから家内の希望は満たせるかも知れないが、船上で車椅子生活が出来るクルーズがあるのか、結局家内に介護をさせるだけの旅になりはしないか、長期間リハビリを怠っていたら下船後には歩けなくなるのでは、と不安が尽きない。

 

そんなことを悶々と考えていたある日、

 

「世界一周クルーズを楽しみながら、広い海の上で”歩く力”にフォーカスしたリハビリを実施する「ポラリス×クルーズ」では、株式会社ポラリスと提携し、船内での自立支援型デイサービスをご提供します。」

 

と言うキャッチ・コピーが目に飛び込んできた。

 

 

105日の世界一周で、クルーズ料金(通常の部屋で268~866万円/人)に加えて以下のリハビリ料金が加算される。

[約1時間45分:船上全55日分]・・・59.8万円

[約1時間45分×1日2回:船上全55日分]・・・79.8万円

 

少々お高いのだが、こんなサービスがあるからにはバリアフリーの部屋や障害者向けのサービスがあるはず。

 

しかも、

「【全額返金保証制度】
国際基準である「TUG」にて歩行改善状況を測定し、改善されていなければ自立支援介護サービス料金を返金いたします。」

があると言う。

 

私のような進行性の神経難病患者に一々返金していたら商売にならないと思うので、返金は期待しないにしてもリハビリをやってもらえるのは有り難い。

事前審査があるらしいのだが、「5秒つかまり立ちができる方」であれば参加可能らしい。

 

前向きに検討したいと思っている。