セルフレジ ⇔ 人の温かみ を読んだ軍師千代殿から、「レジの合戦」のための有り難い技を授かった。
袋詰め対策は、買い物カゴ用エコバッグの技。
決裁対策は、SUICA(葵の御紋)掲示の技。
これで敵無し。
準備万端で意気揚々と、いざ敵陣へ。
丁度雨がやんでいたので歩行練習を兼ねて歩行器で。
やはり環七の横断は、歩行者用信号が青になると同時に渡り始めたのに点滅が始まっても渡りきれず、歩道の段差で立ち往生していると、真後ろを敵(車)の気配が。
危ない危ない、敵陣はまだ先なのに。
油断も隙もあったものでは無い。
やはりWHILLの鎧に身を包んで来るべきだったか。
商品をかごに入れて、いよいよ本丸のレジへ突撃。
店内は空いていたのに、レジがポツポツとしか開いていないものだから長蛇の列。
セルフレジにした意図が、時短による客の満足度向上では無く、開放レジ数を極限まで減らすことでの経費削減にある事が見え見えだ。
成敗せねば。
敵も、余りのレジ行列の長さにいくつかのレジ開放の手を打ってきたが、青信号を渡りきれない私が、開いたレジに殺到する買い物客に太刀打ち出来るはずも無く、並んでしまった列でひたすら待ちつことは計算ずくと見える。
この待ち時間をムダにする私ではない。
SUICAを取り出して、エコバッグを買い物かごの中の商品の上にこれ見よがしに置いて準備完了。
決戦の時は来たり。
いつでもかかって来い!
順番が来たのに、敵はエコバッグを精算済みカゴに広げる様子もなくレジ打ちを完了。「レジ袋のご利用はありませんね?」と言いながら持参したエコバッグを精算済みの商品の上に。
えっ! そんな手が有ったか! お主やるな!
「それに詰めてください」などと言葉を発する技は持ち合わせていないので、最初の戦いは完敗を認めざるを得ない。
しかしこちらもこんなことですごすごと兵を引くわけにはいかない。
ここで軍師千代殿秘伝の必殺技を繰り出す。
ここぞとばかりに、SUICAを「葵の御紋が目に入らぬか!」(勿論発語は機能しない)と差し出すと、敵は困った顔をしながらも、「SUICAを使えるレジは○番と△番と×番だけなので、そちらで並び直してください」と動じない。
何と!敵ながらあっぱれな切り返し。
崩れた体勢を立て直そうとそれらのレジの方を見ると、何と後から開放されたレジだ!
お主、謀ったな!
並び直しは勘弁して欲しいし、今日は歩行器だからクレジットカードの挿入口に手が届くはず、と思い「それならクレジットカード決済じゃ」と最後の反撃を試みるも、声になったのは「うえじ(クレジットと言ったつもり)」だけで、何度それを繰り返しても通じるはずもなく、早々に会話が成立しないと判断した敵は、サポートデスクの仲間を呼んで、「このお客さんがSUICAで払いたいって言ってるんですけど」と、クレジットカード入れを見せながら必死で訴えている私を尻目に、勝負は付いたとばかりに早々に私を仲間に押しつけて戦場へ舞戻ろうとしている。
ふっ、甘く見られたものだ。
厄介な客を押しつけられた仲間は、私がSUICA以外の決済方法を持っているなどと言う想像力を働かせることもなく、とにかくSUICAでの処理に躍起になっていたが、ふとクレジットカードを必死に指さす敵の姿が目に入ったようで、不思議なものを見るような目で、でも助かったと言う表情を隠しもせずに、「えっ、クレジットカードでも良いのですか?」。
Yes or Noの戦いに持ち込めばこっちのもの。得意の頷きの技を返す。
仲間が油断して「お荷物をバッグに詰めても宜しいですか?」と来ればその機を逃さず、速攻必殺頷き返し。
バッグに詰めることに気を取られている隙に、クレジットカードとSUICAを片付けて勝負は決した。
傷ついた私は、負け惜しみながら「有り難う」の一言を残して(伝わったかどうかは定かでは無い)その場を(亀のようなスピードで)立ち去ったのです。
厳しい戦いになった。身も心も満身創痍だ。
軍師千代殿には何と報告すれば良いものか。
この敗戦を糧にして、次戦こそは勝利しなければ。