「運転免許証更新の壁(警察署編)」および「運転免許証更新の壁(試験場編その1)」の続きです。

 

前回はアクセルからブレーキへの踏み替え動作で落第点を取ってしまったことまでお伝えしました。

ペダル配置に慣れていなかったとか、ブレーキペダルの踏み込みがあり得ないぐらい深く、最奥まで踏み込まなければ反応しなかったとか、言い訳は数々あれど、それを言い出す気にもならないほど自分の反応が鈍かったので、落胆しつつも仕方無い、と自分自身の中で折り合いを付けようとしていた時に、目の前の40代半ばと思しき男性警察官が、「説明しなければならない事項があるのでもう少しお時間を下さい」と言って二枚の紙を出してきました。

その説明に入る前に、と前置きをしてその警察官が発した言葉は、「未だ今の免許証の有効期限までにはしばし時間があるので、それまでにリハビリをして再度挑戦してみては如何ですか?

検査にお金がかかるわけでもありませんし、何度検査を受けて頂いても結構です。」と言う意外なものでした。

そして、2枚の内の1枚を指して付け加えたのは、「と言ってもそう時間があるわけでも無いので、その間に合格出来るかどうかは分かりません。でも諦めないで下さい。失効後6ヶ月以内に失効事由が無くなった時には免許は再度有効になりますから、その間何度でもトライ出来るんです。○○さん(私のこと)はきっと出来ます。だから頑張ってみて下さい。」とキラキラ輝く目で言うのです。

 

警察官というのは免許を持っている人から罰金を(欺し?)取るのが仕事で、免許を持っている人の数が減れば減るほど仕事が楽になる、と考えているのが当然と思っていた私は、驚きを隠しきれませんでした。

更にその警察官は「漫然とリハビリをするより、目標日を決めてやった方が効果が出ると思うので、是非期限内に来て下さい。それでダメならその後も何度でもお付き合いしますから。」と熱く熱く語りかけてくれるのです。

最後には、「私の顔を覚えて置いてください。私も○○さんの顔を覚えましたから、いつでも来て下さい。」とまで。

そして我が家の車に装着出来る運転補助装置のカタログを探してきてくれました。

 

病院はおろか、リハ施設職員も顔負けの圧倒的な力強い励ましの言葉に、私の警察官観が完全に覆された瞬間でした。

 

その瞬間は女房共々、この壁を乗り越えれば病気が克服出来るのでは無いか、と思い込むほどに興奮していたのですが、冷静に考えるとそう簡単では無いことは明らかです。

この熱血警察官に賭けてみようかなと思いながら、そのハードルの高さに思わず、右足でアクセルもブレーキも操作するから動作が鈍いのだから、ブレーキは左足で操作するようにすれば良いのでは無いか、などと邪なことを考えたりもしています。

この病気になって以来、困難を工夫で乗り越えてきた習性が顔を覗かせてしまう瞬間です。

 

ちなみにもう一枚の紙は、免許証の自主返納をした際に申請出来る運転経歴証明書の説明で、これはあくまで説明義務を果たすためとの注釈付きで説明してくれました。

 

今後どうするかは未定ですが、進展があるようでしたら「運転免許証更新の壁(試験場編その3)」で、何も無いようでしたら手を離しさえすればその場で急停止する WHILL の運転に集中することにしたと思って下さい。