道化のクレヨン
第1章「緩巻のセレクト」
メール
今日が好きだ。
今日が大好きだ。
にやける・・・
集合時間より30分早く来た俺はひどい顔をしていた。
付き合って1ヵ月野郎かよ、何て考えて笑う。
だがデートも数えるくらいしかしてないことも事実だ。
約束から1週間。
にやけっぱなしの毎日だった。
今日が無ければ広い心は持っていなかっただろう。我ながらそう実感した。
それはさっきのことだ。
俺はコンビニ前でイチャイチャしていたカップルを見かけた。
広い心で微笑ましいと思うことが出来た。いつもならこうは思わない。
余裕というか、うれしいのだろう。
逆に狭い心の普段はひどい。
先々月のメールだってそうだ。
デートの断りのメールばかり送られてるような気になり、
1秒で不機嫌になった。
ごめん次の機会に、という文ばかりで送られてるような気になり、
定型文かよ、って思った。
今思うと物凄く狭い心だったな。
デートの待ち合わせ時間の少し前。しかしまだ来ない。
辺りを見回す。
なかなか来ないな・・・
約束の時間を1分過ぎた。
少し不機嫌になった。
1番聞きたくない音が鳴り響く。
もしかして?という最悪の○○を考えた。
考えた。
ああ、考えたからか。
考えたからこんなことになってしまったんだ。
メールが来た。
ごめん次の機会に、というメール。
俺の1日はこんな調子で終わった。
色々あるのかなー・・・知らねえよ。
眉間にしわ寄せながら俺はもう1度メールを見た。
画面の見慣れた文字列を見て俺は・・・
定型文かよ、って思った。
(第2章「道化のクレヨン」へ続く)
(次回掲載予定は4/1です)