《解説》
フランク・プゥルセルの《AMOUR DANSE ET VIOLONS 》シリーズの最後(No.54)となったのが、この『La Femme Romantique』(1980年)である。しかしながらなぜか日本では本アルバムは発売されず、ファンの間では「幻のLP」とされていた。
私が初めてこのアルバムの曲を聴いたのは、1981年の正月、NHK-FMの『サウンド・オブ・ポップス』であったと記憶している。確か、新しいイージーリスニングの特集ということで、フランス本国で発売されたばかりのプゥルセルの新譜からも、何曲か紹介されたのであった。
私はどうしてもこのアルバムを手に入れたくて、あちこちの輸入盤店に注文を入れたが、残念ながら入手することができず、初めてパリに行った1988年にもあちらこちらのレコード店でこのアルバムを探したものの、結局見つからず。1990年代になって、ダメ元で注文した《Made in France》(後のM...in France)から、突然入荷したとの連絡があり、小躍りした記憶がある。
現在、プゥルセルのレコードは次々とCD化され、本アルバムも2021年にCD化され、音楽配信もされている。
《収録曲》
1)Tenderly/テンダリー 2)Another Brick In The Wall (part 2) 3)What's Another Year 4)Roses de Picardie/ピカルディのバラ 5)September Morn (C'est En Septembre) 6)Parlez-Moi D'Amour/聞かせてよ愛の言葉を 7)When You're In Love With A Beautiful Woman 8)Ilona 9)La Femme (The Hips) 10)Osmunda 11)Amour (Love) 12)Voyage Romantic (Romantic Journey) 1)作詞ジャック・ローレンス、作曲ウォルター・グロスによるスタンダードナンバー(1946年)で、ブラジルの歌手兼ピアニスト、 ディック・ファーニーによって初めて録音された。 2)ピンク・フロイドのアルバム『ザ・ウォール』(1979年)に収録された曲で、全米・全英共に1位を記録している。作詞/作曲はロジャー・ウォーターズ。アルバムにはPart1からPart3まで同じ曲が収録されているが、閉塞的な学校教育への抵抗を込めて、“We don't need no education(教育なんて必要ない)”と歌われる。 F.プゥルセルはPart2(子供たちのコーラス入り)をベースにアレンジしている名演である。
3)1980年のユーロビジョンの参加曲で、アイルランド代表として出場したジョニー・ローガンが歌いグランプリを受賞。 「ストリングスの魔術師」と謳われたF.プゥルセルならではの、弦の美しさが際立つ名演といえよう。
4)ティノ・ロッシのヒット曲として知られるこの曲は、1916年にイギリス人のフレデリック・ウェザリーが作詞し、ハイドン・ウッドによって作曲された。1980年にリリースされたイヴ・モンタンのアルバム『Montand D'hier Et D'aujourd'hui』に収録されてリバイバル・ヒットしたのを受け、F.プゥルセルも新たに録音したものと思われる。
5)ジルベール・ベコーが1978年に“C'est En Septembre”としてリリースした曲を、翌79年にニール・ダイヤモンドが“September Morn”として発表した。
6)1930年にリュシエンヌ・ボワイエの歌でヒットしたこの曲(作詞/作曲ジャン・ルノワール)は、同年に制定されたフランスのレコード大賞(Grand Prix Du Disque)の受賞第1号となった。 F.プゥルセルは自らの楽団を結成する以前、L.ボワイエの音楽監督となり、ワールドツアー等にも同行した。
7)ドクター・フックの1979年のヒット曲である(全英1位/全米6位) 9)1956年にF.プゥルセルがリリースされたアルバム『女性(Les Baxter's La Femme)』(作曲/サックス演奏はレス・バクスター)の中から、「The Hips(フランス語ではLes Hanches)」を新たに録音したものである。 *1956年
8)10)11)12)はF.プゥルセルのオリジナル曲であるが、特に12)はF.プゥルセルのオリジナル曲の中でも個人的にはTop3に入る名曲、名演奏と考える。
|