《解説》

 

 1976年の来日記念盤としてリリースされたアルバムで、ポール・モーリアがコンサート・ツアーで回った日本各地の印象を音楽で綴ったコンセプトアルバムとなっている。

 1988年に日本でCD化された後、長らく廃盤となっていたが、2020年にイギリスのVocalionからSACD(ハイブリット盤)として発売された。なお、同時期(1976年)に発売された『ラブ・イズ・スティル・ブルー』のうち5曲もボーナストラックとして収録されている。

 

《曲目》

1)パリ・東京直行便(36 Nord 140 Est)

2)京都・雨の朝(Poupee De Soie)

3)オー・ラ・ラ・オーサカ(Oh La La Osaka)

4)夜の港のサンバ(La Baie Des Lumieres)

5)夜明けの渚(Sea-Shell Shore)

6)ハカタ・ディスコ・ハウス(Let There Be Light)

7)ブラック・スワン(L'oiseau Rare)

8)白いスロープ(Boules De Neige)

9)湖に消えた恋(Memories Of Yesterday )

10)碧い海のバサノバ(L'etoile De Mer)

11)お嬢さんのタンゴ(Demoiselle Tango)

 

1)原題は「北緯36度 東経140度」で東京の位置を示している。1976年の来日ステージではオープニングを飾った曲で、華やかな女性ヴォーカルをフィーチャーした色彩豊かな音色が印象深い。

 

2)パリ在住の琴奏者下西敬子をフィーチャーした日本情緒溢れる曲で、P.モーリアとジェラール・ガンビュスの共作となっている。その後も度々ステージで再演されたが、その時の琴奏者はミヤザキミエコであった。原題は「絹の人形」の意。

 

3)この曲は、後になかにし礼の日本語詞がついて、坂本スミ子が歌っている。

 

4)神戸の港の夜のイメージを綴った曲で、原題は「光の入り江」の意。 

  神戸の震災直後にはフランク・プゥルセル、レイモン・ルフェーヴル、フランシス・レイと共に「カルテット・フォー・神戸」という曲を録音している。

 

5)原題は「貝殻の海岸」の意。カモメの鳴き声が効果的に使われて、高知の海辺のイメージが綴られている。

 

6)博多をイメージした曲であるが、原題は聖書からの引用で、「光あれ!」の意。

 

7)倉敷をイメージした曲で、原題は「珍しい鳥」の意。

 

8)札幌の雪をイメージした曲で、原題は「雪の玉」の意味であるが、フランスには“Boules De Neige”という伝統的なお菓子もある。

 

9)摩周湖に伝わる伝説をモチーフに作られた曲である。高橋キヨシが日本語歌詞を書いて自らレコーディングしている。

 
*こんな素敵なギター二重奏がありました。

 

10)仙台をイメージした曲で、原題は直訳すれば「海の星」であるが、いわゆる「海星(ヒトデ)」をさす。
11)金沢をイメージした曲で、原題そのままの、溌剌とした若い女性の姿が浮かぶ曲であるが、最後に再びジェット機の音が収録されていて、「ああ、P.モーリアはまたパリに帰ってしまうのだなぁ」という余韻を残してくれる。