《解説》
1970年3月にリリースされたビートルズの「レット・イット・ビー」は瞬く間に世界中のヒットチャートを席巻したものの、フランスではバルバラの「黒いワシ(L'Aigle Noir)」がトップの座を譲らなかったという(もう1曲それを阻んだのがミシェル・ポルナレフの「忘れじのグローリア」)。
ミシェル・コロンビエによるアレンジはシンプルではあるがモダンであり、当時の若者たちの心もしっかりと掴んだのであろう。
バルバラの未完の回想録『一台の黒いピアノ...(Il etait un piano noir...)』には、少女時代の父親との不適切な関係を暗示している記述があり、一説には「黒いワシ」は父親の象徴そのものであるとも解釈されている。
しかしながら、この曲の副題には「ローレンスに捧ぐ(dédiée à Laurence)」と記されており、フランスの作家ディディエ・ドゥコワン(Didier Decoin)が1969年に出版した『眠れローレンス(Laurence)』(日本では『ラブ・ストーリーを君に』の題名で出版された)に触発されたとも、バルバラ自身の姪の名前ともされている。
バルバラの死後、マリー・カルメン、パトリシア・カース、ミシェル・サルドゥ、フローラン・パニーといった歌手たちによって歌い継がれている。また日本では岩谷時子の歌詞で岸洋子によって歌われ広く親しまれた。
《競演》
ポール・モーリア/レイモン・ルフェーヴル/カラベリ/101ストリングス/ニニ・ロッソ/
ローラン・ロマネリ
*圧倒的なスケール感で描写される詩情豊かなポール・モーリアの演奏が群を抜いて素晴らしい。
*ニニ・ロッソ
*ローラン・ロマネリ(バルバラの元恋人でもあるアレンジャー、キーボード奏者)によるトリビュートアルバムより