《アルバム解説》
 アルバムタイトルの『Country Bouquet』は、1959年にリリースされた名盤『Bouquet(魅惑のワルツ/美しき花束)』、1965年の『Broadway Bouquet』に連なる、《花束(Bouquet)シリーズ》の最後を飾る素晴らしいアルバムである。
 邦盤のタイトルは『緑の風のアニー』となっており、ここまで相次いでリリースされた《New パーシー・サウンド》は鳴りをひそめ、流麗なストリングスと木管を中心に、当時流行したカントリーミュージックを中心に選曲されている。
 当時のライナーノーツによれば、このアルバムが録音された直後の1974年8月、P.フェイスの息子ピーターが他界してしまい、まるでその「レクイエム」のような厳かな雰囲気のアルバムとなっている。
 
《曲目解説》
 
1)The Most Beautiful Girl【朝焼けの少女】
2)I Don't See Me In your Eyes Anyone【涙の面影】
3)El Paso【エル・パソ】
4)Snowbird
5)Help Me Make It Through The Night【一人ぼっちの夜】
6)Annie's Song【緑の風のアニー】
7)Behind Closed Doors【愛の扉】
8)Sundown
9)For The Good Times【心の思い出】
10)Orange Blossom Special
 
1)カントリー歌手チャーリー・リッチ(1932〜95)の1973年のヒット曲(全米1位)。P.フェイスは原曲の持つ美しいメロディを極限にまで引き出し、ストリングス主体の見事なアンサンブルを聴かせてくれる。
2)オリジナルは1949年に書かれ、コーラスグループのStardustersをフィーチャーしたジェンキンス楽団によってヒットした。その後ペリー・コモ、そしてチャーリー・リッチらによってリバイバルヒットしている。

 


4)カナダ出身の歌手アン・マレー(1945〜)の1970年のヒット曲。ペリー・コモエルヴィス・プレスリーアンディ・ウィリアムスレイ・コニフ等によってカバーされている。日本名は「ユキヒメドリ(雪姫鳥)」。リズム楽器を除いて、ほぼストリングスのみで奏でるアレンジはこの上なく美しい。

 

6)ジョン・デンバー(1943〜97)の1974年のヒット曲(全米1位)。最初の妻であったアニーに捧げるために作詞作曲した曲。J.デンバーは自ら操縦するプロペラ機が墜落して帰らぬ人となった。

 

 

10)「オレンジ・ブロッサム・スペシャル」とは同名の豪華旅客列車に由来し、元々はフィドル(ヴァイオリン)のために書かれた曲で,

1939年にラウズと彼の兄弟ゴードン(Rouse and his brother Gordon)録音した。P.フェイスはアルバムの最後を締めくくるに相応しい軽快な演奏である。ドイツのジェームス・ラストもLive等で好んで演奏しているので、聴き比べてみたい。