《アルバム解説》

 

 アルバムの邦題は『パーシー・フェイスの新しい世界第2集』となっており、レコードではB面の「追憶」をアルバムトップに持ってくるために、A面、B面がそっくり入れ替わっている。

   本アルバムも「静」と「動」が見事に調和した〈New パーシー・サウンド〉の完成度の高いアルバムに仕上がっている。古今東西、新旧のヒット曲をバランスよく配置し、聴くものを決して飽きさせることはない。イージーリスニングというと、BGM的な音楽と誤解されがちだが、「これも(これぞ?)イージーリスニング!」と胸を張って言える素晴らしいアルバムである。

 

《曲目解説》

 

1)The Hills Where The Lord Hides【神の丘】

2)Washington Squar【ワシントン広場の夜はふけて】

3)Theme From "Serpico"【セルピコ・愛のテーマ】

4)Stranger On The Shore【白い渚のブルース】

5)Land Of A Thousand Dances【ダンス天国】

6)Euterpe【エウテルペ(音楽の神)】

7)The Way We Were【追憶】

8)Pelican Dance【ペリカン・ダンス】

9)Eres Tu (Touch The Wind)【エレス・トウ】

10)Skybird【スカイバード(かもめのジョナサン)】

11)Angelica【アンジェリカ】

 

1)“Feel So Good”が日本でも大ヒット(1977年)したフリューゲルホーンの名手、チャック・マンジョーネの1970年のヒット曲。P.フェイスの演奏は原曲を上回る迫力満点の演奏である。C.マンジョーネの1978年の「サンチェスの子供たち」はジェームス・ラストのカバーでも知られている。

 

 *Live in Japan 1974

 

2)ヴィレッジ・ストンパーズの1963年にヒットしたインスト・ナンバー(全米2位)。デキシーランド・ジャズとフォークソングの要素を融合した親しみやすいメロディは多くのカバーを生み、日本ではダニー飯田とパラダイスキングの歌声がヒットした。ちなみに曲調が酷似している「サントリーオールド」のCMのメロディは、作曲小林亜星となっている。

3)1973年に公開された映画『セルピコ』(米伊/主演:アル・パチーノ)のテーマ曲で、音楽はギリシアのミキス・テオドラキス。ニューヨーク市警の腐敗に立ち向かう主人公セルピコ(実話が元になっている)を力強く、美しいメロディをP.フェイスが見事に表現している。

4)クラリネット奏者アッカー・ビルクの1962年のヒット曲(全米1位)。その後、ヴォーカル盤でもアンディ・ウィリアムス盤が全米38位, ドリフターズ盤も全米73位を記録した。「夏の日の恋」「ひき潮」「ラ・メール」等と並んで、《夏のイージーリスニング》には欠かせない1曲といえよう。

5)一般的にはウォーカー・ブラザースのカバーが広く知られているが、オリジナルはクリス・ケナーのヒット曲である(1962年)。ハモンド・オルガン、エレピ、エレキギター、そして女性コーラスを多用したP.フェイスの演奏も現代風に仕上がっている(...といっても半世紀前!)

7)バーブラ・ストライサンドロバート・レッドフォード主演の映画『追憶』(米/1973年)の主題歌で、B.ストライサンド自身がしっとりと歌い上げた(全米1位)。マーヴィン・ハムリッシュの書いた美しいメロディを、P.フェイスが見事なアレンジで聴かせてくれる。イントロのストリングスとピアノの分散和音を聴いただけで、P.フェイスの世界に魅せられてしまう名演奏といえよう。

 

 

 *Live in Japan 1974

 

10)映画『かもめのジョナサン』(米/1973年)の主題歌で、ニール・ダイヤモンドが歌い、同年のグラミー賞「最優秀映画音楽賞」を受賞している。誰よりも高く、そして速く飛ぶことを目指した孤高の存在、ジョナサンの姿をP.フェイスの演奏は余すことなく描き出している。

11)アメリカのシンガーソングライター、バリー・マンの1966年のヒット曲。P.フェイスはストリングスを主体のアレンジで、ドラマチックに聴かせてくれる。

 

 *1971年のアルバム『Blac Magic Woman』とのカップリング