《解説》

 本アルバムは日本ではパーシー・フェイスの「来日記念盤」として発売を予定されていたが、1976年2月9日にP.フェイスが他界(67歳)してしまったため、「追悼盤」の帯が掛けられて発売された。公演そのものは代役としてデヴィット・ローズ(TVドラマ『大草原の小さな家』の音楽を担当)がオーケストラの指揮をした。

 本作では前作『ディスコ・パーティ』の流れを受けたリズムが強調された曲と、『緑の風のアニー』のようなストリングスの奏でる美しい曲とがバランス良く配された、非常に完成度の高いアルバムとなっている。

 アルバムは1975年の9月(10日・11日)にレコーディングされている。

 

《収録曲》

 

1)Summer Place '76【夏の日の恋'76】

2)Feelings【愛のフィーリング】

3)Ding Dong【ディン・ドン】

4)Maybe September【メイビー・セプテンバー】

5)Soleado【哀しみのソレアード】

6)Dream Your Dream【あなたの夢】

7)Sha Bunpin'【バンピン】

8)Saddest Thing Of All【悲しみにしずんで】

9)La Balanga【イヴの十字架】

10)Send In The Clowns【哀しみのクラウン】

 

1)1975年の終わり頃からFM放送でも度々流され、アルバムに先駆けてシングルカットされた曲である。当時大流行していたディスコのリズムを大胆に取り入れ、それでいて原曲の持つ美しいメロディラインを存分に聴かせてくれる素晴らしいアレンジに脱帽である。

2)日本でもハイ・ファイ・セット「フィーリング」のタイトルで歌い大ヒットしたが、当時、ブラジルのシンガーソングライターであるモリス・アルバートの作品として紹介されていた。ところがその後、フランスの作曲家ルイ・ガステ(歌手リーヌ・ルノーの夫)の作品 "Pour Toi"の盗作ではないかと問題となり、最終的にはガステの作品ということで決着した。

 

4)この曲はP.フェイスが音楽を担当した映画『オスカー』(1966年/アメリカ)の主題歌として歌われたもので、映画にも出演しているトニー・ベネットが歌った。本アルバムではレスリー・ケンドールがしっとりと歌い上げている。

 

5)一般にはイタリアのコーラスグループ《ダニエル・センタクルツ・アンサンブル》のヒット曲として紹介されているが、元々はメンバーのリーダーであるチロ・ダミッコ“Le rose blu”がベースとなっている。

 

9)この軽快なリズムの曲は「オリーヴの首飾り(El Bimbo)」の作者であるクロード・モルガンの作品である。ここでは当時のフランスのTV番組の映像をご覧いただこう。

 

10)この曲は1973年にブロードウェイのミュージカル『A Little Night Music』のために作られた(音楽はStephen Sondheim)曲で、フランク・シナトラ、サラ・ヴォーン、バーブラ・ストライザント等々、多くのアーティストによってカバーされているバラードナンバーである。ただし近年では映画『ジョーカー』の中でF.シナトラの歌声が繰り返し流れたため、ちょっとイメージが変わってしまった...。