パーシー・フェイスは1960年代半ばから女性コーラスを多用(歌詞を歌わせる)したアルバムを制作してきたが、本作はその頂点ともいうべき作品で、1970年のグラミー賞「最優秀コーラス賞」を受賞した記念すべきアルバムである。

 

 

 

 《曲目解説》

 

 1)Theme From “A Summer Place”【夏の日の恋(コーラス入り)】

 2)Spinning Wheel【スピニング・ホイール】

 3)The April Fools【幸せはパリで】

 4)Aquarius【輝く星座】

 5)Love(Can Make You Happy)【ラブ】

 6)Hello Tomorrow【ハロー・トゥモロー】

 7)Love Theme From “Romeo And Juliet”【ロミオとジュリエット】

 8)Good Morning Starshine【グッド・モーニング・スターシャイン】

 9)One【ワン】

 10)Without Her【ウィズアウト・ハー】

 11)Through The Eyes Of A Child(Un Jour,Un Enfant)【リラの季節】

 

1)はP.フェイスの二度目の録音となるが、今回は女性コーラスを大胆にフィーチャーした音作りとなっているが、P.フェイスの録音はほぼ全ての作品がCD化され、数多くのベスト盤もリリースされたが、このバージョンだけはオリジナルの本アルバム以外では聴くことができない。

3)は映画『幸せはパリで』(1969年/アメリカ)の主題歌(主題歌:バート・バカラック、音楽:マーヴィン・ハムリッシュ)で、映画ではディオンヌ・ワーウィックの歌声を聴くことができるが、サントラ盤にでは主題歌も含めて全編パーシー・フェイスの演奏が収録されている。

4)8)は共にロック・ミュージカル『ヘアー』(1967年)の曲で、4)はアメリカのコーラスグループのフィフス・ディメンション“Let The Sunshine In”と共にメドレーでレコーディングして大ヒットした(1969年のグラミー賞最優秀レコード賞)。

7)は映画『ロミオとジュリエット』(音楽:ニーノ・ロータ)のテーマ曲で、P.フェイスの演奏はイントロを聴いた瞬間から中世イタリアの街ヴェローナにタイムスリップしたかのような雰囲気に引き込まれる。途中から加わる女性コーラスも格調高く美しい。聴くたびにオリビア・ハッセーの可憐な姿を脳裏に浮かぶ。

11)は1969年のユーロビジョン・ソング・コンテストの優勝曲で、歌ったのはフランス代表として出場したフリーダ・ボッカーラである。P.フェイスは全編英語詞を女性コーラスに歌わせているが、本アルバムを締めくくる詩情豊かな名演奏であるといえよう。

 

 *アルバム『Those Were The Days(悲しき天使)』(1969年)とのカップリングです。