駆け足で去っていく日々が、あっという間に一年の折り返し点を通過してしまい、7月に突入してしまいました。
空梅雨といわれながらも、そこそこの雨が恵みとなり、我が畑も夏野菜たちは元気に育っている傍らで雑草たちもいつも以上に旺盛な繁殖力を見せている周囲の景色です。

さて、このところすっかり「携帯短信」頼みとなった我が駄ブログ。
「思いつくまま、気の向くままに」が信条の我が駄ブログですので、「携帯短信」もそれなりに意味はあるとは思いますが、ちょっとサブロガーぐせが付いてしまったのも事実。
久方ぶりにちゃんとした記事を書いてみようと思い立った次第です。




ここは、とある女子大のキャンパス。
図書館の一角にある個室スペースに腰を落ち着けた仲良し二人組み。

おっとり可愛らしいサキちゃんと、しっかりもののヒロちゃん、まもなくやってくる夏休みにしっかりとアルバイトをして、お金を蓄えて卒業旅行の軍資金を作ろうという相談の真っ最中であります。

あれこれと相談を進めるなかで、「2人一緒のアルバイト先よりもそれぞれに好みの合ったバイトを見つけて頑張ろう!」となった、2人でありました。

そんな2人、まず、決めたのがヒロちゃん。
大家族の長女としてお母さんを支えて、小さな妹弟たちの面倒を一生懸命みてきた毎日から解放されて、ぽかり空いた時間をもてあまし気味でしたが、ここは一番、遠いところで家族を気にせず、アルバイトに専念しようと思い立ち、沖縄県・石垣島のリゾートホテルでの住み込みアルバイトを決め、一路沖縄に旅立ちます。
さて、残ったのはサキちゃん。
おっとりかわいいタイプで「受付とか事務系の仕事との方が向いているかな」となんとなく思っていたところ、ママから「オフィス街のなかで受付のアルバイトがあるんだけど、どう?」と勧められます。
「渡りに船」とママに渡されたメモを頼りに「品川口クリニック」に面接に出かけます。
ところで、サキちゃん、小さい頃からのトラウマで歯医者さんが大嫌い。
歯医者さんとなると精神的にパニックになったりうするのは「歯科恐怖症」というれっきとした病症とされているのだそうです。
オフィス街のなか、メモに書かれた住所のビルのテナント案内表示をみると、そこに表示されてたのは

「品川デンタルクリニック」

ママ、してやったり。
歯医者恐怖症のサキちゃんに「品川口クリニック」のメモを渡し「しながわぐちクリニック」だと思わせた時点で作戦成功であります。
大嫌いな歯医者さん。このまま引き返そうかと思ったものの、一応、人からの紹介を受けた立場。紹介者に失礼になるのではと思い直してクリニックの扉を開けます。

待っていたのは、ママの弟、つまりサキちゃんの叔父さん。
そして、院長先生をはじめ、叔父さんともう一人のドクター、魅力的な2人の歯科衛生士のお姉さん、優しいお母さんタイプの事務員さん。皆さん個性的だけどすごくデキる人たちみたい。それになんだかとっても居心地はよさそうな感じ。
でも、歯科技工士の四谷さんちょっと苦手かな。

とんとん拍子に、というか、すっかりクリニックのスタッフの皆さんのペースに乗せられ歯医者大嫌いの身でデンタルクリニックの受付嬢となったサキちゃんでありました。

受付に座るサキちゃんに院長先生から託された大切な使命。
この品川デンタルクリニックを訪れる患者さんたちを通じて、その使命を果たしながらサキちゃんが経験するひと夏の出来事。
患者さんたちが抱える様々な悩みに真正面から真摯に向き合うスタッフたち。
そのスタッフのなかで、サキちゃんもチームの一員として、患者さんたちと真正面から向き合っていきます。
石垣島から沖縄本島・那覇に移ったヒロちゃんとメールや電話でお互い連絡を取り、励ましあいながら、個性豊かなスタッフとともに成長していくサキちゃんの夏休み。
苦手だった四谷さんとの距離も果たして縮まるのでしょうか。


さて、一方のヒロちゃん。
石垣島で始まったバイト生活は、仲間にも恵まれ、何より「暇」というものがない大家族で奮闘してきた日々の忙しさが帰ってきたのが自分にぴったりと張り切ってバイトにいそしむ日々を送っておりました。
が、ある日、オーナーから那覇にあるホテルに応援に行ってくれないかと頼まれてしまいます。
せっかくの居心地の良い日々、ヒロちゃんとしても不本意ではありましたが、オーナーから「どうしても」と頼み込まれてしまい、那覇へと降り立ったのでありました。

那覇の裏通りにある古びた雑居ビルのなかにそのホテルはありました。
ホテルの名は、「ホテルジューシー」
とてもホテルとは思えないその外観に似つかわしい、これまた個性豊かかな面々がヒロちゃんを待ち受けていたのでありました。そして、さらにその上を行く個性豊かな宿泊客たち。
石垣島でのパラダイスのような毎日から一転、国際都市・那覇でのヒロちゃんの奮闘の日々が始まります。

「チャンプルー文化」に面食らい、宿泊客をつうじて巻き起こる事件に遭遇していきます。
サキちゃんとのメールや電話のやり取りを時に心の支えにしながら、また、構成豊かなスタッフの面々とのふれあいを通じてヒロちゃんもまた成長していくのでありました。


青春真っ只中。
アルバイトを通じて、ひと夏を思いっきり頑張る若い二人に清々しい想いを抱くことが出来るこの2冊。
一服の清涼剤にうってつけです。

梅雨明けのまぶしい日差しの下、休日の午後、木陰のオープンテラスに腰掛けながら、ラム&コーク片手に読んでみてはいかがでしょうか。


シンデレラ・ティース (光文社文庫)/坂木 司
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