実は、大好きなのであります。お二人とも。

片やのお1人を最初に知ったのは高校生の頃。
「倫敦巴里」という一冊でした。

ページの中で繰り広げられるユーモアセンスの素晴らしさに一度にファンとなり、この方の繰り出す世界にはまり続けているのであります。(当時、すでに絶版で手に入れることが出来ませんでしたが、20年の時を経て東京・神田の古本屋で偶然見つけたときに震えた手の感触を今も忘れていません)


片やのお1人を知ったのは20代の頃。
「アマリリス」という一冊でした。

勤めていた会社を辞め、たった独りニューヨークに渡った日々が綴られた20代の青春記。
当時ほぼ同じく20代だったわが身を重ね合わせ読みふけったのでした。


こうして出会ったお二人。
そのきっかけは、片や「ユーモアブック」、片や「小説」。
お二人の本業がイラストレーターであると知ったのは、いずれも「後のこと」でありました。

和田 誠さん

そして

安西 水丸さん


本業の枠を越えてその才能を遺憾なく発揮され続けるお二人が「一緒にやろう」となったら、これはもう才能と才能の究極コラボレーションであります。


***** 本書4頁 「「まえがき」 和田 誠」 より抜粋引用 ****

(前略)
二人ともイラストレーターですから、もちろん絵を描くことは共通項です。二人とも絵を描き文を書く。ということは、水丸さんの文章にぼくが絵をつけることできるわけだし、ぼくの文章に水丸さんが絵をつけることができるわけですね。そう思ったのが、この企画のそもそもの始まりです。二人で交互にエッセイを書き、書き手でないほうがイラストレーターとして参加する(攻略)

*******************



本業の「イラストありき」ではなく、あくまで「相手の書いた文章にイラストを描く」というルール。
つまりは、まず文章家としての才能発揮が求められるという企画です。しかも



****** 上記引用つづき *******

(前略)
片方が書いた文章のおしまいの部分を引き継ぎながらいつの間にか別の話題になり、そのおしまいの方をもう一人が引き継いでゆく。打ち合わせなしなので、お互いどういうことになるかわからない。(中略)相手の文章を読んで、挿絵を描きながら、次に自分が書くことを考えるという(後略)

********************




描きながら、考えて、書いてゆく。
しかも、「相手からネタを受け、それを自分でひねって新しいネタで完結する」

こんなすごい芸当が次々と連鎖して継がってきます。
イラストと文章が並行するのではなく、まさに「2重らせん」
才能豊かなお二人だからこそ出来るハイレベルな「知的お遊び」であります。




こんなレベルの高い本ですが、でも、その中身が決して堅苦しくいものではないことは、本のタイトルが示しています。
だいたい、最初のネタが「ショーン・コネリーのハゲ」ですから。
このネタから始まって、「理科室の人体模型」から「占い」そして「映画で観た景色」まで、文章とイラストという「絡み合った二つのらせん」がいかに続いていくのかは、本書を読んでのお楽しみ。



この夏、どうやら猛暑がやってきそうです。
その「暑気払い」によく冷えたビールと「冷やっこ」そして、「この一冊」がお奨めの僕なのであります。


青豆とうふ (新潮文庫) (文庫) / 安西水丸/著 和田誠/著
¥620
楽天