2011年3月11日。

日本人の心に深く刻まれる日付となりました。

未曾有の自然の力によってもたらされた災いに遭われた皆様に心よりお見舞いを申し上げ、そして犠牲となられた皆様とそのご家族の方々に謹んでご冥福と哀悼の意を表しますとともに全身全霊を掛けてまさに不眠不休で救援、復旧活動に当たっておられる全ての皆様に敬意を表します。
そして、今現在、こうして日々変わらぬ日常を送る事が出来るわが身の幸せに心から感謝いたします。

さて、おかげ様で日々変わらぬ日常を送る事が出来るこちら伊勢湾沿岸、もうすぐやって来る「春」は「お祭り季節」でもあります。
各地域・集落を鎮守する「土地の神様」である氏神様に地域・集落の安寧と息災そして繁栄を祈願し、そして五穀豊穣を願う。
大自然に畏敬し、そして、その力の大きさを「神」として崇め、人々の暮らしの助けとなることを念ずる。
鎮守とは、読んで字の如く「自然の力を鎮め」そして「もたらされる災いから守る」こと。

その神様に一年に一度、集落を挙げて氏子達が奉賛するのが「お祭り」です。
わが集落では、今年は、4月2日、3日両日となりました。

その「奉賛の心」にご奉仕するのが祭礼に携わる者たちの全ての使命。
これは、古来より連綿と受け継がれた「精神」であり、そのことは今も変わりません。

前置きが長くなりました。

震災発生以来、広く世間に飛びかう「自粛」と「不謹慎」の文字。
4月2日に迫った春のお祭りを前にして、わが集落でもこの言葉を真正面から受け止めることとなりました。
執行の役務を退き今は「一介の笛吹き」となった僕ですので今年の執行部の協議には加わっておりません。が、この突然に直面する事となった課題に対して、先に役目を務め上げた「長老」の一人として今年の執行部から意見を求められました。

そこで、先に記しましたことをまず伝え、僕が以下の考えであることを申したのであります。


「日常と変わらぬ生活を送る事が出来る」すなわち「息災」であるということ。

この息災であることを神に感謝することはとても大切なことであるということ。

そのうえで

今こそ「集落が結束し一体となる場」が必要とされるということ。


を伝えさせていただきました。


「お祭りに携わる」と言う事は、「集落の人々にご奉仕させていただく立場」であることを一人ひとり再度しっかり認識し、そのことを誇りとし「品位をもって」務めさせていただく。

この当たり前の「原点」を堅持する限り、お祭りを挙行することは「人々に喜びをもたらすこと」であると確信していること。

そして

集落が結束し一体となれる場には多くの人々が集います。

その場において苦難にあわれた方々へのご支援にご協力いただけるように活動する時間と機会を作れば、少しでもお役に立てるはず。


との考えを示させて頂きました。


昨夜、祭礼の最高決議の場において、


本年のお祭りは、いつも通りに挙行する。

との決定が示されました。

本当にありがたいことです。そして、お祭りに携わる者、一人ひとりの責任はいつにも増して重大です。
「普段通り」を決断してくださった人々に恥をかかすようなことがあってはなりません。


祭礼に携わる者は、一人ひとりが集落の皆様の安寧と息災、そして繁栄を神に感謝し祈る気持ちの「代弁者」として「ご奉仕する立場」であることを自覚する。

奉仕者としての「品位」と誇りをもって精一杯真摯に祭りを務め上げること。


日常に感謝するだけでなく、すこしでも多く支援へのご協力を仰いで「形」にしなければなりません。もちろん、自らが率先して支援を形にすることは言うまでもありません。



この春、海沿いの田舎集落において、空に向かって響き渡る若い衆の威勢の良い掛け声と子供達を中心とした清めのお囃子の音色に込められた「祈り」と「元気」がどうか、「同じ空の下」でご苦労なさっておられる皆様へ届けられるよう、一生懸命務め上げたいと心に期す僕であります。



**** 付記 ****


昨夜の決定を受けて、祭礼当日をいかにするべきかは、これから随時検討し、決定してきますが、現時点で出された提案は以下のようなものがあります。



祭礼に係わる関係者は率先して義援金を出す。


祭礼の期間中、祭礼に関する各拠点で「義援金箱」を設置し募金をお願いする。


行事催行中の祭礼関係者の飲酒は慎む。

(注記 : 但し、神社の「お神酒」は「直会(なおらい)」といい、神様から下賜された縁起物であるので、ありがたく頂戴する)


公序良俗の面から見て猥雑とされる行動は厳に戒める。

(注記 : 「お祭り」に批判的な見解をもたれる方から「単なる馬鹿騒ぎ」と指摘される事例のひとつであり、この件に関しては、そう言われてもまさにいたしかたない行動である。実際、これまでもこうしたごく一部の「不心得者」には、再々にわたり強く注意を促してきたが、結果として大目に見てきた。が、この機に、「身内への甘さ」にたいし一同、襟を正し、「是は是、非は非」をはっきりさせ、厳しく戒めるものとする)


祭礼に寄せられる各位からの「ご祝儀」につき、その一部を寄せてくださった方にご了解を頂いたうえで義援金に加えさせていただく。

(注記 : 集落の皆様からお寄せいただいた「寄付金」は、あくまで「祭礼行事のため」としてお出しいただいた「公金」であり、たとえ義援金といえども、「祭礼以外の目的への支出」は、勝手には許されるものではない。が、「ご祝儀」はお出しくださった方の「心意気」すなわち「私心」であり、ご了解をお願いしても差し支えない。)




今後、引き続きお祭りに関してご報告してまいります。


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