そのお店は、駅前の商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりにあるのだそうです。
「あるのだそうです」っていうのは、誰にも気付かれずにお店が佇んでいるから。
いえ、誰にも気付かれないわけではありません。
本当に大事な探しものがあるとき、それを手に入れたいと心から願うとき人はお店に気が付きます。
「こんなところにお店なんてあったっけ?」と最初は訝りながらドアを開けます。
お店の中で待っているのは、ちょっと風変わりなお兄さん。
美味しそうなおでんと稲荷ずしをこしらえて店番をしています。
心の中が切なくなった時。
大切な何かを失いかけた時。
自分ではどうにもならなくて辛くなった時。
駅前の通りを少し入ってみてください。
そこに赤い看板に稲穂のマークのお店があるのに気付きませんか?
きっとそこには長い銀色の髪をした金色に光る目をしたお兄さんがお店番をしているはずです。
お店の名は、「コンビニ たそがれ堂」
お店の棚を探してください。
きっと、探しものが見つかるはずです。
出先からの帰り道、いつもの本屋さんで見つけた一冊。
寒いビル街を歩いてきて、ちょっと心も冷えた気がしてた時、ページの向こうに広がっていた「風早(かざはや)の街」で起きた6つの温かい物語。
魔法を信じてみたくなります。
- コンビニたそがれ堂 (ピュアフル文庫)/村山 早紀
- ¥567
- Amazon.co.jp