十三夜。夜の闇を海辺まで出る。 風の無い砂浜はひんやりとした空気が辺りを包む。 耳に届くのは打ち寄せる波音だけ。 静かに凪いだ水面を照らすのは銀色の月明かり。 見上げた空に浮かぶのは満ちてしまう前の月。 保温水筒に詰めてきたお湯割の焼酎をカップに注ぐ。 旧暦九月十三日。 栗名月に芋焼酎。 その「ちぐはぐ」も自分らしいと独り頷く。