少し遡りますが、先週金曜日(10月16日)の事。
家に帰りますと、いきなり、家内から「スーパーに出てたんで買ってきたからよろしくね!」とのひと言が。
このひと言が、先の記事でちらっと書きました「家内から言いつけられた一仕事」の発端でございます。
だいたい、我が家においてこの手のアナウンスがあるときは、「美味しそうだけど、ひと手間かけないと食べられない食材」を手に入れた合図です。
我が家においては、手間のかかる調理は僕の担当となっております。
「さて、今回はいったい何を仕入れたんだ?」
と冷蔵庫を開けると、予想通り、冷蔵庫に秋ならではの「あるモノ」が鎮座しておりました。
というわけで、明けて土曜日。
朝一番から、ひと仕事に取り掛かった僕であります。
冷蔵庫から取り出したのは
(これです)
秋を迎え、「秋アジ」の異名の通り、産卵の為に各地で鮭が河に帰ってくる季節となりました。
そのお腹には、たっぷりの筋子が詰まっています。
まさに、今が旬の「秋の味覚」の代表選手です。
我が家もイクラは大好物ですので、やっぱり生の新鮮なイクラこの時期は食べたくなります。
ということで、「よろしくね」となった次第です。
我が家がいつも行くスーパーは地元の鮮魚卸業者さんの直営という事で「地魚」は言うに及ばず、仕入れる魚介類には、絶対の自信を持っています。
この日、仕入れたのは岩手産の筋子。
少し小ぶりですが、その分、お値打ち。もちろん鮮度は間違いありません。
実は、筋子をイクラにばらすのには、さして技術がいるわけではありません。
用意するのは
(この2つ)
金網とイクラを受ける器。
これさえあれば、誰にでも簡単に出来ます。
いよいよ、作業開始です。
まず、冷蔵庫で冷えている筋子をぬるま湯に浸して、常温に戻してやります。
そして、外の膜を破って、中のイクラを外に出してやります。
あとは、金網の上に載せて
(金網でこそげ取ってやるだけです)
「やわらかいイクラの粒がつぶれてしまうのでは?」と思われるでしょうが、そこは荒海を泳いで成長した自然の生命力は偉大です。丁寧にあつかえば、金網に擦りつけるぐらいでは、イクラの粒が負けることはありません。
20分ほどで
さて、このままでは、ただの生臭い粒です。
これを美味しく頂く為にさらに手を加えてあげなければいけません。
そこでイクラを漬けるタレを用意してやります。
まず、日本酒を鍋にかけ、煮切り酒を作ります。
そこにお醤油と塩を加えて味を調えます。
分量は、大体、お酒2:お醤油1がその目安。お塩は味見をしながら適量を加えてやります。
(漬けタレを作って冷まします)
(タレが冷えたらイクラの中へ)
せっかくの見事なオレンジ色。
このオレンジ色を活かす調理方法として煮切り酒とお塩のみで作る透明なタレを使うやり方もあるのですが、やはり、味わいはしょうゆ漬けのほうが美味しいと思う僕です。
色が黒くなるのは惜しいですが、ここは味わい優先で行くことにいたしました。
そのまま冷蔵庫の中で寝かせます。
夕方には
(程よく漬けあがりました)
その日の夕食。
母家の父にもお裾分けして、僕たちも頂きます。
そう、もちろん献立はイクラ丼です。
(たっぷりご飯に乗せて)
今年採れた新米の炊き立てご飯の上に輝く粒。
もう、何も言う事はありません。
ひたすら、口にかき込むだけです。
口の中で弾ける美味しさに息子の箸も止まりません。
あっという間にイクラも炊飯器のお釜も空っぽになったその日の我が家でした。
「もう、ないのかよ~っ!」
という不満たらたらの息子の声に、「その気持ちは良く解る」と思う僕でありました。
また新鮮な筋子が手に入ったら作ってあげる事にいたしましょう。
そんなことを思いながら、あらためて四季があり、その季節折々に旬のある国に生まれたことを心から感謝する僕でありました。
とある田舎の秋の一日の出来事でした。