昨年の10月。
ありがたきご縁に恵まれ温かいお導きによって我が手元に新しい相棒を迎える事となりました。
以来、相棒とは、オフィスへの通勤は言うに及ばす、出張先やはたまた畑仕事まで文字通り「どこに行くにも一緒」という間柄となっております。(さすがに抱いて寝るまではいたしませんが)
その相棒とは、
レンジファインダー式デジタルカメラ EPSON R-D1s
愛称:エプ子さんと申します。
さて、このエプ子さん、初代モデルである「R-D1」の時代から、巷で「ある症状」が出ることが伝えられておりました。
ちょっと、ここでレンジファインダー式カメラにおける「ピント合わせの仕組み」のおさらいです。
いわゆる一眼レフは、レンズを通して被写体をファインダーに映し出しますので、ファインダーの中の映像は、撮影されるのと同じイメージで映し出されます。
が、このレンジファインダーという方式は、ファインダーはただの「窓」でしかありません。
ですから、ファインダーの中はそのまま向こう側にある景色が見渡せているだけの単純なものです。
その窓の中にもうひとつレンズの焦点距離と連動した画像が映し出されています。
写したい被写体にレンズのピントリングを回して横方向にスライドするレンズ側の画像をぴったり重ね合わせる事でピント合わせが行われるという構造となっております。
この二重画像がピッタリ重なり合う事で被写体にピントが合った事を確認できるのであります。
ここまで、この二重画像を重ね合わせる作業繰り返してきたのですが、ここに来てその画像の「縦方向のズレ」が生じてきたのであります。
この「縦ズレ」という症状は、日頃からお世話になっている我が写真教室の「特任教授」であられる西の巨匠 様が既に経験されており、西の巨匠様によれば、多くの方がこの症状にぶつかり、R-D1の持病ともいえる症状のようなのであります。
その持病が、使い始めて1年が経とうとする我が相棒においてもとうとう発症したということなのであります。
その当時、同様の症状に見舞われた方々の中には、ユーザー自身の手で修理をする方がおられた様で、カメラの扱いに長けておられる西の巨匠様も、その情報を元に自らの手で修理し症状を修正されるという事をなさっておられました。(そのレポートはこちら )
さて、西の巨匠様の修理の記事を拝見するとカメラ内部にある「調整ねじ」を回す事で修正できるようなのですが、元来コテコテの文系脳の僕です。子供の頃から工作などは大の苦手でございます。
機械いじりは、壊す事があっても決して直すことはありません。
そんな僕が、精密機械であるカメラをいじるなんて、まさに「生兵法は怪我の元」を絵に描いたような顛末が待っているに違いありません。
我が相棒も使い始めてそろそろ1年。
メーカーの保証期間も10月で満了を迎えます。
都会の街中で使われるのと違い、我がエプ子さんは、海辺で潮風を浴び続け、また、野原や畑で土ぼこりにまみれるという日々を過ごしてきました。
精密機械としては、相当に苛酷な環境で酷使されるわが相棒です。この症状以外にも悲鳴を上げている箇所があるかもしれません。
ならばこの際、一度ドック入りさせて修理はもちろん、隅々までしっかり点検と清掃をしていただき、徹底的にオーバーホールをしていただく事を決めました。
先日、僕自身も病院で定期健康診断を受診してきましたが、1年頑張ってくれたエプ子さんにも健康診断と治療を受けさせる事といたします。
というわけで、待ちわびた鈴鹿に連れて行ったあと、10月6日から信州へ入院させる事といたしました。
これから日を追うごとに秋が深まるこの時期、手元から相棒がいなくなるのは、正直いって本当にツライです。が、やはり機械は労わってあげなければなりません。
これから長い付き合いをしてゆく為にもここは「決断の時」だと思うのであります。
おそらく、帰ってくるのは、10月の終わり頃だと思います。
その頃には、きっと里の紅葉が美しいことでしょう。
健康を取り戻した相棒と秋を探しに行けるに違いありません。
その日を楽しみに、そして、旅立つまでの10日ほどをしっかり相棒とともに写す心と向き合いたい僕なのであります。