たまたまの偶然でしょうか?

はたまた、何か見えない力の働きなのでしょうか?


先月の終わりに、書店で見つけて手に入れた一冊の本。

丁度今、読み進めている最中に、我が親友の一人である「インテリア海峡の一本釣り師」ことkazz0517様によってこの記事 が上げられました。



kazz0517様が記事に書かれた「龍村」の文字に、この本を復刻するにあたって著者の息子さんが書かれた巻頭文の一節に得心がいったのであります。



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(前略)

このような一見華やかな表舞台も、裏にはきびしい現実があった。「幻の錦」など古代裂の復元には高いコストがかかり、会社の内部でも強い反対の声もあった。昭和50年代頃には路線の対立から、それまでほぼ経営をまかせていた叔父たちと別れ、七十歳になってから、従来の会社と別に独立し、一からやり直す決意をした。

(後略)



*** 本書三頁「増補版によせて」より抜粋引用 ***



その一節により、ひとつの道を突き進むため、この本を著した後、本業との袂を分かつ事を決め、著者名である「平蔵」という名を龍村家の当主が代々継承するものとして、本業を継ぐ弟さんが三代目とし、自らは「光翔」と名乗られることとなったいきさつを理解するのであります。



その突き進む道とは



古(いにしえ)より伝わる端切れ(裂(きれ)というのだそうです)から、そこに施された技法を見つけ出し、それを現代において復元するという途方も無い壮大な仕事。



古の匠の技と著者の真剣勝負が本の中で繰り広げられていきます。

鋭い観察眼と洞察力、そして何よりもまして高い職人の技がぶつかり合っていきます。




長らく絶版でしたが、先月復刻されたばかり。

それを僕は手に入れた次第です。

我が友の記事を読みながら、この本が今、僕の手元にあることになんだか不思議な縁(えにし)を感じざるを得ない僕であります。





錦とボロの話/龍村 光翔


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